瓦屋根のラバーロック工法とは?メリット・デメリットについて説明
屋根を修理、メンテナンスする際にはいくつかの方法があります。
「ラバーロック工法」もその一つなのですが、こちらの工法はメリットとデメリットが強くある工法でもあり、使い方を間違えると大きなトラブルになったり、悪用する業者がいたりするという工法でもあります。
そこでここではラバーロック工法のメリットやデメリットについて紹介していきたいと思います。
ラバーロック工法の概要について
「ラバーロック工法」はいくつかある屋根の補修工事の一つであり、瓦屋根の補修で使用される工法です。
屋根に設置されている、隣り合った瓦同士をコーキング材を利用することで固定してしまう工法です。
瓦同士がコーキングによって接着されて固定されることによって結束力や固定力を向上させて、台風や地震などで瓦が大きく揺れてしまった場合にも瓦がズレる、外れるということを防ぎ、外れてしまった瓦が落下することを防止する工法です。
適切に施工すれば瓦を固定できるというメリットがあるのですが、施工業者の中には「大きな効果がない」「雨漏りが増えてしまう」と敬遠する業者もある工法でもあります。
また、このラバーロック工法は訪問販売業者、悪徳業者によって適当な工事をしたり手抜き工事をすることがありますし、法外な工事費用を請求することに利用されることも多い工法であることから悪いイメージがある工法でもあります。
このように良いも悪いも特徴が強い工法でもあります。
ラバーロック工法のメリットとは
ラバーロック工法は適切な方法で正しく施工すればメリットがある工法です。
そこでここではラバーロック工法の目的やメリットを紹介していきます。
瓦と瓦の隙間をコーキングで埋めて防水性能を向上させ、雨漏りを防ぐ
瓦屋根においてラバーロック工法は補修工事の方法として使用されています。
スレート屋根や金属屋根など色々な素材なものがある屋根材の中でも瓦屋根は陶器瓦などでは耐用年数が50年以上あるものもあります。
瓦はそれほど耐久性が高い屋根材であり、長いものでは100年ほど持つものもあります。
耐用年数が基本的に長いためにスレート屋根ほどの頻度でメンテナンスを行う必要はないのですが、そのために長期間にわたって交換がされることなく屋根の上で設置され続けることとなっていきます。
長期間にわたって屋根の上で紫外線や雨風を受け続けることによっていくら耐久性の高い瓦屋根であってもさすがに歪みや変形が発生してきます。
こうした歪みや変形などをコーキングすることによって補修、接合してしまうことで変形した隙間から雨が侵入していかないようにすることができ、屋根の防水性能を高めることができる、雨漏りの危険性を低下させることができるというメリットがあります。
瓦がズレない、外れないようにして落下を防ぐ
瓦屋根は釘やビスなどで屋根に固定されているのではなく、漆喰で固定されているだけとなっています。
強い固定がされていないのですが屋根材として瓦は非常に重いので、瓦自体の重さによってある程度は安定感があるのですが、大きな地震の揺れや台風があった場合には瓦がズレてしまうということがあります。
瓦が大きくズレてしまうとそこに隙間ができてしまうので、雨水が侵入してしまうため雨漏りの危険性、瓦の落下、屋根のバランスが狂って屋根の安定感の低下が考えられます。
そこで瓦同士をコーキング材を打つことで固定してしまうことによって、瓦の結束力や固定力を高めることができます。
瓦をコーキング材によって固定することで、瓦がズレない、瓦同士の間に隙間ができない、瓦が外れて落下しないようにできるのです。
しかし正しい施工方法で適切に施工していけばそれらのメリットが期待できるのですが、施工方法を間違えて施工してしまうと結束してまとめた瓦がそのまま外れてかたまりで落下してしまうということがあります。
こうなると屋根の上から大きくて重い瓦のかたまりが落下してくることになってしまうので人や物に当たると危険ですし被害も大きなものになります。
ラバーロック工法のデメリットとは
正しい方法で施工することで防水性を向上させるようなメリットが期待できるラバーロック工法ですが、実際に施工する際にはデメリットや注意点があります。
ここではそれらのデメリットや注意点について紹介していきます。
建物内部、屋根の内部に湿気が溜まりやすくなる
ラバーロック工法は隣り合う瓦同士の隙間についてその部分をコーキング材を打ち込むことで埋める、そしてまとまった塊として固定してしまう工法ですので、本来であれば埋める必要がない部分や埋めてはいけない部分までをコーキングで埋めてしまうと瓦の内側に湿気が溜まりやすくなってしまうというデメリットがあります。
本来、屋根の内側に溜まってしまった湿気などは晴れて乾燥した日に外部に向かって排出されていくようになっています。
ただ、必要な隙間までをすべて埋めてしまうとこの隙間から湿気や水分が排出できなくなるために瓦の内側に溜まってしまうというデメリットがあるのです。
屋根の内部に湿気が溜まると建物で使用されている柱などの木材が腐食する、シロアリが発生する、雨漏りが発生するなどのトラブルが起きます。
このように「瓦の内側に湿気が溜まる」ということがラバーロック工法の決定的なデメリットだと言えます。
メンテナンス時に瓦を再利用することができなくなる
ラバーロック工法を行っている瓦は隣の瓦とコーキングを使って接着されてしまうために、一度外したその瓦は再利用をすることが不可能となります。
瓦屋根は他の屋根材と比較しても耐用年数が長く、破損などのトラブルがなければ50~100年ほどにわたって利用できます。
しかし、瓦を固定している漆喰は瓦ほど耐用年数が長くなく、15~20年程度で劣化していくために定期的にメンテナンスが必要です。
この時、漆喰をメンテナンスして瓦に破損などの問題がなければ瓦を元の位置に戻して再利用することが多いのですが、ラバーロック工法を使用した瓦は再利用することができません。
こうしたことも大きなデメリットだと言えるでしょう。
次回のメンテナンスを行う際に費用が余計にかかることとなる
ラバーロック工法を行う時には起こらなかった問題についても、その後にメンテナンスを行う時に不要な手間や費用がかかる場合があります。
瓦の補修、メンテナンス、交換をする際に固定されているコーキングを瓦から剥がしていく作業や、固定されている塊の瓦をまとめて撤去するといった作業が必要となります。
こうした手間のかかる作業を行うために工期が延びたり、余計な費用がかかることにつながることとなります。
ラバーロック工法を行った時ではなく、次のメンテナンス時に作業や費用が増えるということがデメリットと言えます。
美観が悪くなる
ラバーロック工法はコーキングを打つことによって瓦同士の隙間を埋めて瓦をまとめて結合していく工法です。
その際に使われることとなるコーキングは粘着性が強く、使用した部分にゴミや埃が付着してしまいやすくなってしまいます。
さらにコーキング自体が劣化することによって古いコーキングが黒ずんできたり、ボロボロと劣化して剥がれていくことがあるため、外から見た時に屋根全体の見た目が悪くなる、ゴミなどで汚れが目立つ、美観が悪くなってしまうことがあります。
落下した際には危険度が上がる、被害が大きくなる
コーキングによって瓦同士を連結して塊にしているために、もし瓦が外れて落下してしまう際には連結した瓦の塊が落下してしまうこととなります。
瓦は一枚でも重量があるために落下すると危険なものですが、連結した瓦はさらに重量が大きくなるために非常に危険なものとなります。
そのため塊の瓦が落下した時の衝撃は大きなものとなり、下に人や物が存在した場合には大きなケガや破損といった被害がでることとなってしまいます。
ラバーロック工法を正しく施工するためには
ラバーロック工法は正しい適切な施工方法で施工しなければ施工不良が発生しやすい工法でもあります。
そこでここではラバーロック工法の正しい手順について紹介していきます。
瓦の現在の状態を点検する、必要があれば補修、補強を行う
ラバーロック工法を実施してしまう前にまず瓦が現在どういった状態なのかを確認します。
コーキングを打ち込んで瓦同士を接合してしまう前に点検を行い、瓦がひび割れしていないか、欠けたりして破損していないかということを点検していきます。
瓦が割れている、破損しているという場合にはラバーロック工法を行うことはできません。
まずは瓦の現在の状態を点検した上で必要であれば補修を行い、コーキング処理が可能な状態にしていきます。
この時点でラバーロック工法を行えない瓦だと判断された場合は交換などの別の方法を選ぶこととなります。
棟瓦部分からコーキングを行う
「棟」と呼ばれる部分は屋根の頂上部分を指しており、棟瓦はその棟の頂点部分にある瓦です。
この付近には熨斗(のし)瓦と呼ばれている平たい形状の瓦が交互に積んであります。
交互に瓦を積むことで段を作っていくのですが、台風や地震が起きた際には崩れるなどの被害が出やすい場所となっています。
熨斗瓦は上の段と下の段が交互に積まれている形状となっており、その境目の「T字部分」だけを適切にコーキングしていくこととなります。
このT字部分だけをコーキングすれば大量にコーキングを打たなくても瓦を固定することができます。
T字部分だけでなく、すべての隙間を埋めるようにコーキングしてしまうと瓦の内部が完全に密閉されて換気できなくなってしまうこととなり、瓦の内部に湿気が溜まることとなります。
湿気が外部に排出されなくなるために、雨漏りの発生や木材の腐食につながってしまいます。
コーキングする場所についてしっかりと確認することが重要だと言えるでしょう。
まとめ
イメージが悪いと言われることがあるラバーロック工法ですが、正しい施工方法で行うことでしっかりと効果も得られます。
ただし、訪問販売業者、悪徳業者の中にはラバーロック工法を悪用する業者もいますので、行う施工業者については慎重に選ぶ必要があると言えます!
ラバーロックに限らず施工業者は慎重に選びましょう。
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