ベランダ防水の必要性とは?雨漏りのリスクについて
ベランダは普段洗濯物を干したり、植物を栽培する場所ということもあって、建物の中でも唯一「外気」に面している部分になっています。
そのため雨風の影響を受けやすく、雨漏りがもっとも起こりやすい場所でもあります。
実際に雨漏りというと屋根のイメージを持たれている方も少なくありませんが、実際には雨漏りの多くがベランダが原因となっているのです。
そこで、今回はベランダ防水の必要性とベランダのメンテナンス方法、点検方法などについて紹介していきたいと思います。
ベランダ防水はどうして必要なのか
ベランダは直接雨水がかかる部分であるため、しっかりと防水がなされていないと水が浸入したり、雨漏りの原因となってしまいます。
本来ベランダの床面には防水層が形成されており、それが正常に機能しているうちは問題ないのですが、防水性が低下してくるとコンクリート部分に水がしみ込んでいってしまい、それが雨漏りにつながっていくのです。
そのために防水層が完全に劣化してしまう、破損してしまう前に防水工事をしっかりと行う必要があると言えます。
ベランダ防水の種類とそれぞれのメリットとデメリットについて
ベランダ防水にも色々な種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ここではそれらの種類、メリット、デメリットなどを順に紹介していきます。
トップコート防水について
トップコートはベランダの床面部分の表面にあるもので、防水層の上からコーティングされている防水材です。
つまりベランダを見たときに見えるのは防水層ではなく、こちらのトップコートということになります。
このトップコートが防水層を保護する働きをしているのですが、紫外線や雨水を受け続けることによって機能が低下していきます。
トップコートが薄くなってきたり、破損したりすると下の防水層が直接被害を受けることとなります。
トップコート防水は比較的簡単に工事できますので、DIYでも可能です。
塗料や必要な道具を揃えても1~2万円程度でできます。
専門の補修業者に依頼してもたいていは5万円以内の費用で補修ができます。
ただ、こちらのトップコート防水工事のデメリットとして、「防水層を補修するわけではない」ということがあります。
あくまでも予防の意味合いが強く、防水層が劣化してしまっている場合にはトップコートの補修工事をしても改善はできません。
FRP防水について
FRPとは「繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」を略したものです。
その名前の通りに白い繊維質のようなものとなっています。
ベランダでFRP防水を行う際にコンクリートなどで作られているベランダの床面にシートの形状をしているFRPを敷いて、その表面を樹脂で固めていくことで防水層を作り上げていきます。
FRP防水は「軽い」「頑丈」「工期が短い」というわかりやすいメリットがあります。
ベランダ部分を軽量化できるうえに、傷みにくいということが高く評価されています。
また、乾燥するまでにそれほど時間がかからないために工期が短くなるというメリットもあります。
FRP防水のデメリットとしては「紫外線に弱い」ということがあります。
直接紫外線を受け続けると劣化が早く進んでいきます。
そのため、紫外線を防ぐためのトップコートのメンテナンスを頻繁に行う必要があり、5年を目安にトップコート補修を行っていくのがおすすめとなっています。
また、硬くて丈夫というメリットがあるのですが、伸縮性がないために「割れやすい」という特徴もあります。
熱を持ちやすい金属製の床面には適していません。
シート防水について
シート防水は床面に塩化ビニル製やゴム製のシートを貼り付ける方法です。
メリットとしては紫外線に強い、費用が安いということがあります。
特に熱に強い、日差しに強いというのは他の方法よりもかなり特徴的ですので、日差しがよく当たるベランダに適していると言えます。
ただ、シートを貼り付ける方法ですので、形状が複雑だったり、凹凸があるような床面には施工することができません。
ウレタン防水について
ウレタン防水とは床面にウレタン樹脂を何度も重ねて塗っていくことで防水層を作り上げていく方法です。
床の形状が複雑であったりしても施工することができるという特徴があります。
また、床面がどのような素材であっても施工することができるという強みもあります。
ただ、こちらの方法は液体樹脂を重ね塗りしていく方法ですので、職人の技量の差が仕上がりに影響しやすく、工期も長くなるというデメリットがあります。
経年劣化もしやすいために定期的にメンテナンスを行う必要があります。
それぞれの費用相場について
ベランダの補修費用は面積によって計算されます。
たいていは「1㎡あたり」で計算されますのでそれで確認していきましょう。
・FRP防水
10000~14000円/㎡ となっており、平均的なベランダで10~15万円程度の補修費用となります。
耐用年数は10年ほどが目安となっており、少し高めの費用となっています。
・シート防水
8000~12000円/㎡ となっており、平均的なベランダで85000~12万円程度の費用がかかります。
耐用年数は13年ほどとなっているため、コストパフォーマンスに優れた工法となっています。
・ウレタン防水
9000~13000円円/㎡ となっており、平均的なベランダで9~13万円程度の費用がかかります。
耐用年数は10年ほどが目安となっています。
コストパフォーマンスとしても真ん中ほどと言えます。
ベランダ防水にかかる費用を抑えるには
ベランダ防水を行う際にはどうしても10数万円程度の費用がかかってきます。
必要であるには間違いないのですが、やはり費用はできるだけ抑えたいものです。
そこでここではベランダ防水にかかる費用を少しでも抑えるための方法を紹介していきます。
他の工事、防水工事と一緒に行う
どこかの工事を行う際には職人の出張費用、荷物の搬入費用、足場費用など常に諸経費がかかるものです。
そのため何か工事を行う場合にはそのたびに費用が発生してしまうのです。
つまり他の場所を工事する予定がある、防水工事を行うというのであれば一緒にしてしまうのが正解ということになります。
特に防水工事を行う場合には必要な道具や工程がベランダ防水と同じことがほとんどですので、まとめてやってしまうことで費用を抑えることができます。
補修業者に相談してみることをおすすめします。
地域の工務店、職人直営店を利用する
屋根の補修工事や外壁工事、ベランダ防水工事などを扱っている業者は数多くあります。
大手ハウスメーカー、工務店、職人直営店などをはじめとして最近では大手家電量販店などでも受付が行われています。
ただ、その店の職人が直接補修工事を行うという業者以外の場合は下請け会社や孫請け会社などに仕事を回すということになります。
こうして間に業者が入るとその業者が中間マージンをとることになりますので、結果的に費用が高くなる傾向があります。
その会社の職人が直接補修工事をする場合はこうした中間マージンなどが発生しない上に、途中で希望を伝えたり、工事の内容変更などについても相談しやすいというメリットがあるため、おすすめです。
自分でDIYを行う
条件がありますが、DIYを行うことができる場合があります。
DIYで防水工事を行う場合には材料や道具などを揃えたとしても1万円程度で済む場合が多いのでかなり費用を抑えることができます。
ただ、DIYができるのは防水層の上のトップコートの補修工事の時のみです。
表面層だけがひび割れしている、剥がれている、わずかに破損しているという時だけは自分でDIYすることができますが、防水層まで破損しているという場合には迷わず専門業者に依頼するようにしましょう。
ちなみにウレタン塗料を使ってDIYをする場合には以下のような道具を揃えていくと良いでしょう。
まず塗料として「ウレタン塗料」「プライマー塗料」を揃えます。
そして塗料を塗布していくために「ローラー」「ハケ」などを揃えていきます。
もし溶剤塗料を使用する場合には「マスク」「ゴーグル」「手袋」なども必要となります。
溶剤塗料とはシンナーと混ぜることで使用できる塗料です。
水と混ぜて使用する水性塗料と比べると耐久性が高いというメリットがあるのですが、かなり強い臭いがするというデメリットがあります。
業者をしっかりと選ぶ
まずベランダの防水工事を行う際には相見積もりをとって費用をしっかりと比較していくことが重要です。
複数の業者に見積もりをとって出てきた工事内容や費用を比較することで費用を抑えることも可能です。
この際、依頼する内容の工事内容や使用したい塗料などは同じようにしましょう。
違う内容にしてしまうと適切に比較することができなくなります。
また、こうしたベランダ防水の補修工事を依頼する際には屋根の修理業者、外壁の修理業者ではなく防水工事の専門業者に依頼するのが理想です。
一般的な外壁修理と防水加工に関する知識が違っているために、もし専門でない業者に依頼してしまうと施工不良が起きてしまう可能性があります。
できるだけ防水工事を専門にしている業者に依頼することをおすすめします。
ベランダ防水工事では残念ながら施工不良があるという工事でもあります。
施工不良が起きると漏水してしまう、雨漏りにつながることがあります。
そのためできれば「5年保証」のように業者保証があると安心です。
その際、どういった内容について保証があるのかなどは細かくチェックしておきましょう。
ベランダからの雨漏りの対処法
ではベランダ部分が原因となって雨漏りが発生した場合にはどういった対応をしていけば良いでしょうか。
ここではその対処法について紹介していきます。
自分でできる限りの応急処置を行う
雨漏りが発生すると業者に依頼して補修工事をしてもらうこととなるのですが、業者がすぐに来られないこともあります。
そういった場合には自分でできる限りの応急処置を行うこととなります。
バケツや洗面器、シート、タオルなどを使ってできる限りの応急処置を行っていきます。
室内に多くの雨漏りが発生している場合は電気系統の配線が雨水でショートしてしまうことがあるため、ブレーカーを落とす、電気は付けないということが重要です。
家電に水がかからないようにシートをかけるなどして応急処置を行っていきましょう。
雨漏りの原因となっている場所を特定し、補修工事を行う
雨漏りが発生している場合は、どこが原因となっているのかを特定する必要があります。
これは素人では判断できないものですので、業者に依頼して行ってもらう必要があります。
こうして雨漏りの原因となっている場所が特定できると補修工事を行っていきます。
ベランダの中でももっとも原因として多いのは防水層です。
防水層が劣化している、ひび割れがしているというほど状態が悪い場合には防水層の防水工事を行っていくこととなります。
ただ、雨漏りが長期間にわたって発生している場合には下地部分にも浸水している可能性があります。
下地まで劣化している場合は大規模な工事になる可能性があると言えます。
まとめ
ベランダは建物の中でも外に面している部分ということもあり、雨水や紫外線によって劣化しやすい部位でもあります。
特に床面、防水層が劣化することで雨漏りが発生することが多くありますので、しっかりと防水メンテナンスを行うことが重要だと言えます。