屋根の豆知識

天窓(トップライト)は雨漏りしやすい?原因と対策について

すべての建物についているわけではありませんが、屋根の部分に「天窓(トップライト)」が設置されている家があります。
この天窓は美観のため、採光のためというメリットがあるものですが、雨漏りの原因になるという場合もあります。
そこでここでは天窓から雨漏りが発生する原因とその対策方法について紹介していきたいと思います。

天窓とはどういったものか?

天窓は屋根の一部分に設置されているものです。
設置する際には屋根の一部分に穴を開けて、そこに窓枠をはめ込んで設置します。
もちろんはめ込んだ天窓と屋根の境目部分にはコーキングを打ち込んで隙間を埋めているのですが、このコーキングが劣化していくことで隙間から水が入り込み雨漏りの原因になる場合があります。
また、天窓のガラスパッキンが劣化して雨漏りの原因になるという場合もあります。
屋根に設置される天窓はこういった雨漏りのリスクがあるのです。

その他にも雨漏り以外のトラブルとしてよく起こるのが、天窓があることで部屋が暑くなるという点です。
これは天窓部分は屋根材によって断熱を行うことができず、室内に太陽光とともに熱が入り込んでしまうことが関係しています。
そのため夏の暑い時期に向かうころには暑さ対策をすることが重要です。
天窓部分に熱線カットのポリカーボネートを張るなど、天窓を完全に塞ぐことなく対策をすることが可能です。
天窓からの採光が良すぎて室内が明るすぎる場合には、すりガラスのポリカーボネートで緩和させることもできます。
こちらの方法も天窓に蓋をすることなく、採光を抑えることができます。

天窓の雨漏りの原因ごとの対応方法について

一般的には普通に使用している天窓の耐用年数は25~30年ほどだと言われています。
実際に天窓から雨漏りなどのトラブルが発生しているのは設置してから20年を過ぎた建物が多いというのは納得できる部分です。
そこでここでは天窓から雨漏りが発生する原因とその対応方法について紹介していきます。

✅天窓の周囲のコーキングやパッキンの劣化

これが天窓から雨漏りが起きる場合のもっとも多い原因となるものです。
天窓の枠とガラスの間部分に設置されているパッキンや屋根と天窓の間に打ち込まれたコーキングが劣化することで隙間ができてしまい、その部分を通って雨水が天窓の内側から漏れてきてしまうのです。
コーキングやパッキンが完全に劣化している、破損しているという状態でなければ補修メンテナンスを行うことで機能を回復させることができます。

コーキングは屋根や外壁など建物のさまざまな場所で利用されている重要な部材ですが、それほど寿命が長いものではありません。
たいてい10年程度で劣化していくものです。
屋根や外壁から雨漏りが起きる際にもコーキングの劣化が原因となっていることが多いのです。
特に天窓がある場所は屋根の上ということもあり雨風や紫外線の影響を受けやすいということもあって、どんどん劣化していきます。
コーキングが劣化してくると、「弾力がなくなる」「ボロボロと崩れる」「乾燥して硬くなる」といった状態になっていきます。
こうした劣化が進んだ状態になると雨漏りも発生しやすくなるため、早めの対応が必要となります。
コーキングの補修方法としては「打ち直し」と「打ち増し」があります。
打ち直しとは古いコーキングをすべて取り除いて新しいコーキングを打ち込むことです。
もっとも機能が回復する方法であり、耐用年数も長くなりますので基本的には打ち直すのが良いでしょう。
打ち増しとは既存のコーキングの上から新しいコーキングを打ち込むことです。
この場合は古いコーキングと新しいコーキングがうまく融合しないことがあるため、あまりおすすめできる方法ではありません。
耐用年数も短くなってしまうというデメリットがあります。

パッキンの劣化については新しいものに交換することとなります。
ただ、パッキンが劣化してくるころになると周囲のコーキングも劣化しているということが多いので、それらは合わせてメンテナンスするのが効率的です。
劣化してきているものはまとめて交換するほうが無駄がなく補修できます。

ガラス部分が割れている

天窓は屋根の上という高い位置にあるため、そうそう物がぶつかって破損するということはないのですが、それでも台風の強風の際に飛来物が当たったり、急激な気温差によってガラスにヒビが入ってしまうということがあります。
ガラスが割れたのであれば新しいガラスに交換すれば良いようですが、天窓のガラスはかなり硬いもので一般的に販売されているガラスとは違うものですので簡単に交換できるものではありません。
こうした場合はガラス交換用のユニットを使ってガラス交換を行うか、窓枠ごと取り外して全体的に交換するかということになります。
こうして交換する際にまるごと交換することで天窓ごと新しいものにするという場合もあります。

防水シート(ルーフィング)やエプロン部分の劣化

天窓は設置されている位置の関係から雨風の影響を非常に受けやすいものとなっています。
そのため、雨が建物内部に侵入しないための防水シート、防水テープなどが天窓と合わせて設置されています。
屋根材が瓦屋根の場合は天窓の下側部分にエプロンと呼ばれる金属板が設置されています。
天窓を伝わった雨水が瓦の上を流れていくように導くためのものです。
これらの部位が正常に機能していると雨水が建物内部に入っていくことをしっかりと防いでくれるのです。
こういった防水シートや防水テープなどが劣化してきた場合は、天窓の周囲の屋根材を一度剥がした上で防水シートや野地板などの下地部分の補修や交換を行い、屋根材を元の状態に戻していくこととなります。
ただ、天窓付近の防水シートや防水テープの劣化がひどい場合やエプロンが激しく劣化している場合は部分的に交換をするよりも天窓全体の交換を行った方が良い場合もあります。

天窓の窓枠が歪んでいる、錆びている、腐食している

ガラス部分以外にも天窓の枠部分が経年劣化していくことがあります。
天窓の枠やその周囲の水切り部分が浮いてしまう、歪んでしまう、錆びている、腐食しているということがあります。
こういった場合はそれらの隙間部分から水が入り込み、天窓の外側部分から雨漏りが起きてきますので、室内の壁紙(クロス)に雨染みができてきます。
壁紙に雨漏りが影響してくると、雨染みが出来て見た目が悪くなるというだけでなく、壁紙が浮いてくる、剥がれてくる、破れるということがあります。

こうした天窓の外側からの雨漏りについては内側から発生するものよりもある程度放置していても大丈夫、直接水が室内に落ちてきているわけではないから余裕があると勘違いされがちです。
様子を見ようと時間が過ぎる間に、壁紙や壁そのものに被害がどんどん大きくなる傾向があります。
放置している間に天窓の枠を作り上げている木材や防水シートや野地板などまで腐食していき、補修する際には大規模な工事が必要となるのです。
あまりにも腐食が進んでしまうと部分補修ができずに天窓全体を交換することとなります。

雨漏りが発生しているのではなく結露の場合もある

天窓から雨漏りが発生していると勘違いしやすいものに「結露」があります。
結露は冬の寒い日などに室外が寒い、室内が暖かいという時に起こりやすいものです。
室内の水分を多く含んだ暖かい空気が、冷たくなった天窓に触れることで急激に冷やされて水滴となるというものです。
天窓に結露が発生し、その水滴が室内に落ちてくることで天窓から雨漏りが発生していると勘違いしてしまうというものです。
最近のガラスは性能が向上しており、温度変化に強いもの、二重構造がされているなどの工夫がなされていますが、少し前に設置された天窓のガラスは性能が低いものもあり、結露が発生しやすい場合があります。

天窓の撤去や交換について

天窓の部位の劣化や破損がわずかな場合であれば部分補修することができるのですが、劣化や破損が大きくてひどい場合は天窓を撤去する、もしくは新しいものに交換するということになります。
ここでは天窓を撤去する、交換するということについて紹介していきます。

天窓は建物の美観にも関わってきますし、採光のために設置するということもあります。
しかし実際に天窓を設置してみたものの、「特に必要を感じない」「メンテナンスが面倒である」「雨漏りの発生リスクを減らしたい」という理由で天窓を撤去したいという人もいます。
特に必要ないと感じる場合は天窓を撤去するということを考えるのも良いのかもしれません。
本格的に天窓を撤去する場合は天窓を枠ごと撤去してしまい、屋根の開いた穴を完全に塞いでしまうという方法があります。
この場合は天窓が完全に無くなり、一般的な屋根として扱うこととなります。
簡易的な撤去方法としては天窓自体はその位置に残したまま、天窓の上から板金を被せて塞ぐという方法があります。
いずれ屋根全体の大規模なリフォーム工事や葺き替え工事を行う際に天窓もまとめて工事してしまうというものです。
この簡易的な方法の方が費用は抑えることができます。

また、天窓も次々と性能の高い新製品が販売されていますので、そうした天窓に交換するというのもおすすめです。
電動で開閉できるものや、天窓部分にソーラーパネルがついているもの、室内温度センサーがついているものなどさまざまな製品が販売されています。

まとめ

天窓は採光のため、美観を整えるためなどの理由で屋根に設置されているものです。
ただ、時間が経つことで経年劣化によってコーキングやパッキンが劣化、破損してしまう場合もあり、そこから雨漏りが発生することがあります。
どういった部分がどれくらい劣化しているのかによって部分補修を行うのか、新しいものに交換するのかを選ぶと良いでしょう。

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