屋根の豆知識

瓦屋根における漆喰の重要性について

瓦屋根は日本で古くから使用されている屋根材であり、現在でもファンが多い屋根材でもあります。
耐用年数が長い屋根材なのですが、瓦屋根を設置するためには「漆喰」を利用することとなります。
この漆喰がなければ瓦屋根を屋根の上で安定して固定することができなくなってしまいます。
そこでここでは瓦屋根における漆喰の重要性について紹介していきたいと思います。

漆喰の概要について

 

漆喰は日本だけでなく世界中で使用されている建築材です。
日本でも古くから使用されているのですが、世界では5000年前から使用されているという建材でもあります。

漆喰とはどういったものなのか

漆喰は現在は瓦屋根を固定するのに使用することが多いのですが、もともとは塗り壁材として使用されてきました。
城や寺院、伝統的な家屋ではそういった利用がされています。
瓦屋根の固定、石材の接着、目地の充填、外壁の上塗りなど幅広く使用されています。

漆喰の素材とは

漆喰は石灰石に水を加えてできる「水酸化カルシウム」を主原料として、そこに「布海苔」「苆(わら・麻・紙などを細かく切ったもの)」「粘土」などを混ぜ合わせて水で練っていくことで作られています。

屋根での漆喰の役割とは

漆喰が屋根で使用される際には、瓦と瓦の隙間を埋めるコーキング剤のような役割を果たし、隙間から雨水の浸入や小動物の侵入するということを防止します。
瓦屋根の下には、瓦が下に滑り落ちないように「葺き土(ふきつち)」を敷きますが、この葺き土を雨から守る役割を果たしているも漆喰です。
また、漆喰で瓦同士をしっかり固定することで、台風の際の強風や地震があってもズレや落下などが起きません。
屋根の上で整然とした瓦の並びを維持することで、屋根の美観も保たれます。

漆喰が劣化してくると屋根にどのような悪影響を及ぼすのか

漆喰は屋根の上でさまざまな役割を果たしているため、劣化してくるとさまざまな問題が起きてきます。
例えば漆喰の固定力が弱まってくると瓦がズレることが多くなってきます。
瓦同士がズレてぶつかることで瓦が割れてしまったり、破損してしまったりすることがありますし、できた隙間から雨水が入ってしまうということもあります。
また、固定力が弱まっているところに強風が吹くと瓦が落下してしまうということにもつながります。

漆喰の種類にはどのようなものがあるか

棟瓦積み直しの様子

「漆喰」と一口にいっても実はさまざまな種類があります。
多くは素材や作られ方によって違っており、種類によって用途も違っているので使い分けることが重要です。

本漆喰

もっとも多く普及している漆喰であり、一般的に漆喰というとこちらの漆喰を指すことが多くなっています。
塩焼き消石灰、布海苔、苆、粘土などと水をを混ぜて作られるもので、昔からの製法でできている漆喰だと言えます。
屋根の上で瓦屋根を固定するのにも多く使用されています。

土佐漆喰

こちらは塩焼き消石灰に発酵させたワラ、水を混ぜて作ったものです。
土佐漆喰は紫外線に当たると薄い黄色から茶色へと変色していきます。
その色合いの変化を楽しみたいという人が使用することが多くなっており、屋根でも多く使用されています。
また、漆喰としての強度が高いために床、壁、天井などでも幅広く使用されています。

琉球漆喰

沖縄の現地では「ムーチー」「ムチ」と呼ばれている漆喰です。
これは沖縄の方言で「餅」を意味しています。
その名前の通りに粘着性の高いものとなっており、消石灰とワラと水を混ぜて作りますが、土佐漆喰よりも混ぜるワラが多いのが特徴です。
沖縄では主に屋根で瓦を固定するのに使用されています。

既調合漆喰

こちらは塩焼き消石灰に海藻乗り、炭酸カルシウムなどを混ぜて作っています。
中には合成樹脂や化学繊維といった人工的な素材が入った漆喰もあります。

漆喰はどうして劣化していくのか、劣化すると出てくる症状とは

屋根瓦自体は粘土瓦などでは50年以上の耐用年数があると言われており、メンテナンスの必要性が長期間にわたって無いという耐用年数が長いといった特徴があります。
しかし瓦屋根を固定する屋根の漆喰の寿命は15~20年ほどとなっているため、こちらのメンテナンスの必要性があります。
ここでは漆喰が劣化していく理由、劣化すると出てくる症状を紹介していきます。

漆喰が劣化する原因とは

漆喰が劣化してくる原因としては以下のようなものがあります。
・屋根の上で雨風にさらされることで劣化する
・太陽光、紫外線を受け続けることで劣化する
・昼と夜、夏と冬などの気温差によって劣化する
・時間とともに経年劣化する
などです。

漆喰はそもそも時間が経ってくると徐々に乾燥して硬くなるという性質を持っています。
そうして漆喰が硬くなった状態で雨風にさらされ、気温差によるダメージが続くことによってより劣化が進んでしまうのです。
ここからは漆喰の劣化が進むと出てくる症状や状態について紹介していきます。

〈施工事例〉

漆喰が剥がれて下に設置されている内部の土が流出してしまう

屋根部分と瓦を接着している漆喰が剥がれてしまうことによって、瓦屋根の下に設置されている内部の土が直接雨風に打たれて流れ出てしまうということがあります。
瓦屋根にとっては漆喰と土は屋根を支える土台となる部分ですので、ここの土が流れてしまうことは「棟が変形してしまう」「雨水が浸入しやすくなる」「瓦屋根が固定できなくなる」という被害に直結するものとなります。
さらにこうしたダメージは屋根のほかの部分や屋根裏などにまで広がってしまうので注意が必要です。
軒先に土やコンクリートの欠片のようなものが落ちている場合はすでに落下が始まっている可能性があるため注意しなければならないと言えます。

瓦のズレや抜け落ち

漆喰が劣化して固定力が弱まることによって瓦が台風や大雨、地震などによってズレてしまったり、抜け落ちたりすることがあります。
こうして瓦がズレて隙間ができてしまうと、その隙間から内部に雨水が浸入していくこととなり、漆喰をさらに劣化させていくということがあります。
こうなると瓦と漆喰との間の接着が弱まり、固定力はますます弱まってさらに瓦がズレていくという結果になります。
中に入り込んだ雨水が漆喰や土を流していってしまうということもあり、一気にかたまりで剥がれていってしまうということもあります。

室内で雨漏りが発生する

漆喰の劣化としてかなり症状が重いのが「雨漏り」の発生です。
部屋内に雨漏りがしているということは屋根材の下部分の「ルーフィング」と呼ばれる防水シートにもトラブルが起きている可能性が高いからです。
防水シートが直接被害を受けているということは屋根材の下地もすでに雨水は通過しているということになるため、防水シート、下地、漆喰、屋根材などすべてを交換するような大規模な工事が必要になる場合があります。
雨漏りがしているということは漆喰だけでなく、ほかの部位もダメになっている可能性が高いのです。

漆喰のメンテナンス方法とかかる費用とは

漆喰が劣化していた場合は放置していると被害が大きくなってしまうためにできるだけ早く補修工事を行う必要があります。
どの程度漆喰が劣化しているかによって2種類の補修方法があります。
ここではそれらの方法とかかる費用の目安を順に紹介していきます。

漆喰の詰め直し工事

漆喰のひび割れ、軽微な破損や剥がれなど劣化状況がそれほど深刻でない状態であれば「漆喰の詰め直し」という補修工事を行うこととなります。
これはその名前の通りに劣化してきている漆喰を取り除いて、新しい漆喰を充填していく工事です。
この工事を行う際には頂上部分にある「棟瓦」を外す必要がないため、期間や費用はそれほどかかりません。
劣化が軽微の際にはこちらの補修工事で良いでしょう。
詰め直しの作業を行う際には1m当たりで計算されることが多くなっており、たいていは4000~7000円程度が多くなっています。
一般的に漆喰は60mほどの長さとなる場合が多いので、その場合には24~42万円程度となる計算になります。
ただ、屋根の補修工事の場合は足場を組む必要があるため、建物の大きさや高さに合わせて足場費用がかかってきます。
こちらは15~30万円程度となっています。

実際に漆喰詰め直し補修工事を行っていく際には以下のような順序で行われていきます。
まずどの部分の漆喰が劣化しているのかについて細かく点検をしていきます。
そして古い漆喰を取り除いていくのですが、劣化した漆喰は手で簡単に取れるほどボロボロでパサパサになっています。
古い漆喰がすべて取り除けたら新しい漆喰を詰め直していきます。
漆喰を詰めた際に表面がボコボコにならないようにコテなどを使って綺麗に仕上げていきます。
こうして漆喰の詰め直し補修工事を行っていくこととなります。

棟瓦の積み直し、積み替え及び漆喰の詰め直し工事

大きく瓦がズレている、雨漏りがしているといった場合には漆喰の多くが剥がれてしまっている可能性があります。
これくらいまで劣化が進んでいると、一度棟瓦を取り外したうえで残っている漆喰や土をすべて取り除き、改めて土台を作り直したうえで漆喰の詰め直しを行い、瓦を元通りに設置していくという工事が必要となります。
かなり大規模な工事となるため、期間や費用も多くかかることとなります。
本格的に葺き替え工事を行う場合などは100万円以上の費用がかかることとなるでしょう。

まとめ

まだまだ瓦屋根を使用している建物は多く、その需要はなくなっていません。
瓦屋根自体は耐用年数が長く、粘土瓦などでは50年以上持つということもあるのですが、その瓦屋根を固定している漆喰は15年ほどで劣化していくこととなります。
漆喰は瓦屋根を屋根の上で固定しておくという重要な役割を果たしており、漆喰が劣化していくと瓦屋根の固定力が弱まることで、「瓦がズレる」「瓦が落下する」「隙間ができて雨水が侵入する」といったことにつながっていきます。
定期的にメンテナンスを行うのと同時に劣化症状が出ている場合はできるだけ早く補修工事を行うということが重要だと言えます。
さいたま市にて屋根修理をお考えの際は、是非、ウェルスチールにご相談下さいませ!

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