太陽光発電と屋根劣化の関係性とは?搭載前後に注意すべき点
「太陽光発電を設置したら屋根が傷むって本当?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。
確かに、太陽光パネルは屋根の上に直接設置するため、施工方法や屋根の状態によっては雨漏りやサビなどのトラブルが起こることがあります。
しかし、正しい知識と事前準備があれば、屋根を守りながら太陽光発電を導入することが可能です。
この記事では、
- 太陽光発電と屋根劣化の関係
- 設置前にチェックすべきポイント
- 設置後に気をつけたいメンテナンス
をわかりやすく解説します。
「屋根の寿命を縮めずに太陽光を設置したい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
太陽光発電と屋根の関係とは?

太陽光パネルは、屋根の上に「架台(フレーム)」を設置して固定します。
そのため、屋根材にビス穴を開けたり、金具で固定するなどの作業が必要になります。
このとき、施工精度が低いとビス穴から雨水が侵入し、屋根下地や防水シートの劣化を早めてしまうことがあるんです。
また、太陽光パネルは屋根の上に日陰を作ります。
その結果、パネル下部では湿気がこもりやすく、乾燥しにくい環境が生まれます。
この状態が長く続くと、コケやサビの発生、腐食の進行といった二次的な劣化が起きやすくなります。
つまり、太陽光発電と屋根は切っても切り離せない関係にあり、「設置時の施工精度」と「定期的な点検」が屋根の寿命を大きく左右するのです。
屋根材別に見る!太陽光発電との相性
太陽光発電はどんな屋根にも取り付けられるわけではありません。
屋根材ごとに特性があり、施工方法や注意点が異なります。
✅スレート屋根の場合
スレート屋根は軽量でコストが安く、太陽光発電の設置にもよく選ばれます。
しかし、劣化したスレートにビスを打ち込むと割れやすく、そこから雨水が浸入することがあります。
設置前には、塗膜の状態や防水シートの劣化具合をしっかり確認しましょう。
必要に応じて、塗装やルーフィングの張り替えを先に行うのが安心です。
✅瓦屋根の場合
瓦屋根は伝統的で耐久性も高いですが、重みと形状が特徴的なため、
架台の固定が難しく、設置には高い技術が求められます。
無理に金具を取り付けると瓦が割れたり、ズレたりして雨漏りの原因になります。
瓦屋根に太陽光を設置する際は、「瓦屋根専用金具」や「瓦を一部加工して固定する工法」など、
瓦の構造を理解した施工が欠かせません。
✅金属屋根(ガルバリウム鋼板など)の場合
軽量でサビに強く、太陽光発電との相性が非常に良い屋根材です。
ただし、ビス止めをすると金属の表面に傷がつき、そこからサビが広がることもあります。
最近では、屋根に穴を開けない「掴み金具方式(クランプ工法)」が主流です。
金属屋根を傷つけずに太陽光を設置できるため、雨漏りリスクを大きく減らせます。
太陽光発電が屋根に与える主な影響

太陽光発電は、環境にも家計にもやさしいエネルギーシステムとして注目を集めています。
しかし、設置後のメンテナンスを怠ったり、屋根の状態を十分に確認せずに施工した場合、数年〜10年ほど経ってから屋根の劣化や雨漏りのトラブルが発生するケースも少なくありません。
ここでは、実際に多くの住宅で見られる「太陽光発電が屋根に与える3つの主な影響」について詳しく見ていきましょう。
①雨漏りリスクの増加
太陽光パネルを設置する際、屋根に「架台」と呼ばれる金具を固定します。
このとき屋根材にビス穴を開ける工法が一般的ですが、防水処理が不十分だったり、経年でコーキングが劣化した場合、そのわずかな隙間から雨水が侵入してしまうことがあります。
特にスレート屋根の場合、表面の塗膜が薄く下地の防水シートに依存する構造のため、ルーフィング(防水シート)が古くなっていると、雨水が徐々に屋根裏まで到達してしまうのです。
実際に、「太陽光パネルを設置して3年ほど経ってから天井にシミができた」「雨のたびにポタポタ音がするようになった」といった相談は多く寄せられます。
原因を調べると、ビス穴の防水処理不良や、金具まわりのシーリング劣化がほとんどです。
また、パネルの影で日光が当たらない部分では湿気がこもりやすく、乾燥しにくいため雨水が長時間滞留し、防水層の寿命を縮めてしまうこともあります。
②サビ・腐食の発生
太陽光発電の金具や架台部分は、外気にさらされているため常に湿気や温度変化の影響を受けています。
雨や朝露、結露が繰り返されることで、水分が金属部分に滞留し、サビや腐食を引き起こします。
特に、金属屋根(ガルバリウム鋼板など)の場合は注意が必要です。
屋根材と固定金具の間にわずかな隙間があると、そこに湿気が溜まり、サビの発生源になります。
サビは一度進行すると周囲に広がり、塗膜の剥がれや穴あきの原因にもなります。
さらに見落としがちなのが「電蝕(でんしょく)」と呼ばれる現象です。
これは、異なる金属(例:アルミ架台と鉄製ビス)が接触した際に起こる化学的な腐食で、電気的な反応によって一方の金属が急速に劣化してしまう現象です。
電蝕が進むと、固定金具の強度が落ち、パネルがズレたり脱落する危険も出てきます。
こうしたリスクを防ぐためには、金具の材質を統一する、設置前に防錆処理を行う、施工後も定期的に点検することが大切です。
③屋根への加重負担
太陽光パネル1枚の重さはおよそ15〜20kg。
一般的な住宅に10枚〜20枚設置する場合、総重量は200〜400kgにもなります。
これに加えて、架台や金具の重量も加わるため、実際にはさらに大きな負荷が屋根全体にかかっています。
屋根はもともと一定の耐荷重を想定して設計されていますが、築年数の経った住宅や、下地材(野地板・垂木)が劣化している場合には、
この追加荷重が原因でたわみや歪みが発生することがあります。
たとえば、屋根がわずかに沈むと雨水の流れが滞り、排水経路に水が溜まりやすくなります。
結果として、防水シートの劣化を早めたり、谷部からの雨漏りを引き起こすことにつながります。
また、地震や強風時にパネルが加重のバランスを崩すことで、屋根材が割れたり、棟板金が外れるといった構造的な損傷を起こすケースもあります。
そのため、太陽光発電を設置する前には、建物の構造強度・屋根の状態・下地の耐久性を必ずチェックすることが欠かせません。
屋根工事の専門業者による事前の耐荷重診断を受けておくことで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。
設置前に必ず行いたい屋根チェックポイント

太陽光発電を設置する際に最も重要なのは、「今の屋根がパネルを支えられる状態かどうか」を確認することです。
見た目には問題がなくても、内部の防水層や下地が劣化していることも珍しくありません。
この点検を怠ると、設置後に雨漏りやサビなどのトラブルが発生し、せっかくの投資が無駄になってしまうこともあるんです。
太陽光パネルは長期間にわたり屋根に固定されるため、設置前に屋根の状態を徹底的に確認し、
必要であればメンテナンスや補修を行っておくことが、安心・安全な運用の第一歩になります。
屋根の健康状態をチェックする主なポイント
1. 屋根材の割れ・ズレ・サビの有無
屋根の表面にひび割れやズレがあると、金具の固定時に割れが広がり、そこから雨水が侵入してしまうことがあります。
また、トタンや金属屋根の場合はサビが進行していないかも重要です。
サビは下地まで腐食させ、パネル設置後に雨漏りを引き起こす原因になります。
とくにスレート屋根は薄く脆いため、施工前に細かなひびを見逃さないことが大切です。
2. 漆喰やシーリング材の劣化
瓦屋根の棟部分や、スレート屋根の接合部には、漆喰やシーリング(コーキング)材が使用されています。
これらが劣化してひび割れたり硬化していると、そこから雨水が侵入します。
「見た目は大丈夫そう」と思っても、紫外線や温度変化で劣化しているケースが多く、とくに築15〜20年以上の住宅では早めの打ち替えをおすすめします。
3. 屋根裏(天井裏)の雨染み・カビ臭の有無
屋根の上だけでなく、屋根裏の状態を確認することも非常に重要です。
雨染みや黒ずみ、木材の湿り気があれば、すでに防水層がダメージを受けている可能性があります。
また、カビ臭や湿っぽい空気を感じたら、屋根裏で結露が発生しているかもしれません。
そのまま太陽光パネルを設置すると、通気が悪化し、結露がさらに進行する恐れがあります。
4. 防水シート(ルーフィング)や野地板の劣化
屋根の下には「ルーフィング(防水シート)」と呼ばれる重要な層があります。
これは、屋根材の隙間から侵入した雨水を防ぐ最後の砦のような存在です。
しかし、このルーフィングにも寿命があり、一般的に20〜30年で硬化や破れが発生します。
一見きれいな屋根でも、内部のルーフィングが劣化していれば、太陽光の設置後に雨漏りを起こすリスクが高くなります。
また、屋根を支える野地板(のじいた)が腐食・変形していると、金具の固定力が弱まり、パネルがズレたり落下する危険もあるため、施工前に必ず状態をチェックしましょう。
築年数が20年以上の住宅は、事前メンテナンスが必須
築20年以上の住宅では、屋根材やルーフィング、防水処理が寿命を迎えていることが多いです。
そのまま太陽光パネルを取り付けてしまうと、数年後に防水層が破れて雨漏りが発生し、
再設置や修繕に数十万円以上かかるケースもあります。
そのため、太陽光を設置する前に、
- 防水シートの張り替え
- 屋根塗装の再施工
- 棟板金や漆喰の補修
といった事前メンテナンスを行いましょう。
こうした準備をしておくことで、設置後のトラブルを未然に防ぎ、太陽光パネルの寿命と屋根の寿命を同時に延ばすことができるのです。
設置後に気をつけたいメンテナンスポイント

太陽光パネルは10年以上使う設備です。
その間に屋根が劣化してしまうと、発電効率の低下や漏電の危険にもつながります。
✅年1回のセルフチェックを習慣に
地上から屋根を見上げて、パネルのズレやサビ、コケの発生を確認しましょう。
パネル下の雨樋にゴミが溜まっていないかもチェックポイントです。
✅10年ごとの専門点検を
目視では見えない金具の緩みや防水シートの劣化は、専門業者でなければ判断できません。
少なくとも10年に1回は、屋根+太陽光の総合点検を依頼することをおすすめします。
✅パネル清掃で発電効率を維持
ホコリや鳥のフンが付着すると発電効率が下がります。
屋根を傷つける恐れがあるため、自分で清掃するのは避け、専門業者に依頼するのが安全です。
設置時に屋根リフォームを同時に行うメリット
築年数が経過している屋根にそのまま太陽光を設置すると、数年後に屋根の劣化が進行し、再設置費用が発生するリスクがあります。
設置前に屋根の塗装や防水シートの張り替えを行っておくことで、
- 屋根と太陽光パネルの寿命を同時に延ばせる
- 発電効率を安定させられる
- 再施工のコストを抑えられる
というメリットがあります。
ウェルスチールでは、太陽光発電を見据えた屋根リフォームやメンテナンスプランもご提案可能です。
まとめ
太陽光発電は、正しい施工と定期的な点検を行えば、屋根を傷めるどころか、むしろ「屋根を守る存在」にもなり得ます。
ただし、屋根の状態を無視した設置や、施工精度の低い工事は、雨漏り・サビ・構造劣化といった深刻なトラブルを招く可能性があります。
さいたま市で太陽光発電や屋根リフォームを検討中の方は、屋根専門の職人集団・ウェルスチールにぜひご相談ください。
屋根診断から補修・リフォーム・パネル設置まで、一貫対応でお住まいをしっかり守ります。


