雨漏りはコーキングで止めることができる?補修方法と注意点について解説
雨漏りが発生する原因にはさまざまなものがあります。
屋根材や外壁部分に劣化や破損が見られるという場合もありますし、雨樋やベランダが原因となる場合もあります。
また、劣化や破損にも程度の違いがあり、原因の場所や程度によって対応も変わってくることとなります。
それらの中には「コーキング」によって雨漏りを止めることができるという場合もあります。
そこでここでは、雨漏りをコーキングで止める際の補修方法や注意点について紹介していきたいと思います。
コーキングの種類とは
コーキング剤にも素材の違いによっていくつかの種類のものがあり、塗装に特に向いている、防水性が高いなど特徴が違っています。
ここではそれぞれの種類のコーキング剤を紹介します。
シリコン系のコーキング剤について
ホームセンターなどで幅広く販売されているのがこちらのタイプです。
普通のシリコン系のものは安価で販売されているだけでなく、洗面台や浴室など内装部分で使いやすいものとなっています。
ただ、うまく塗料がのらないという特徴があるので、塗装を考えている場所ではあまり向いていないという特徴があります。
それに対して変成シリコンのコーキング剤もあります。
この変成シリコンの製品は金属、モルタル、タイルなど湿気が多い場所でも自由に使用することができます。
こちらの製品は湿度がある場所、塗装を行う場所でも利用することができるという長所があるものの、塗料が色落ちしてしまう場合があるという短所があります。
また、普通のシリコン系のコーキング剤と比べて高額であるという特徴もあります。
ウレタン系のコーキング剤について
ウレタン系のコーキング剤も比較的簡単に入手することができるコーキング剤です。
サッシやタイルの目地などで使用されることが多い種類のコーキング剤となっています。
塗装をすることができるというメリットがあるのですが、塗装ができるというよりもウレタン系のコーキング剤は紫外線に弱いという特徴があるために塗装をすることが前提条件となっています。
また、シリコン系のコーキング剤と同時に使用することはできません。
コーキング修理を行うのに使う道具とは
コーキングを打つのに必要な道具はホームセンターなどでも簡単に揃えることが可能となっています。
必要となる道具の種類は多いのですが、それぞれはそれほど高額ではないので準備するのは容易となっています。
そこでここではコーキングを打つ際に必要となる道具を順に述べていきます。
コーキング剤
こちらがコーキングを打つ際に絶対に必要となる材料である「コーキング剤」です。
シリコン系、ウレタン系、アクリル系など色々と種類がありますが、雨漏りの補修に使用するのは変成シリコン系の製品やウレタン系のコーキング剤が多くなっています。
製品によって特に水に強い、弱いということや耐用年数が長い、短いという特徴がありますし、衝撃にも強いや弱いということがありますので使う場所など必要に応じて選んでいくと良いでしょう。
また、別名で「シーリング剤」と呼ばれることもありますが、どちらも同じものになります。
コーキングガン
コーキング剤を充填して、この道具を使ってコーキング剤を打ち込んでいくこととなります。
このコーキングガンがなければコーキング剤を使用できないために、コーキング剤と合わせて揃えていきましょう。
カッター、ナイフなど
コーキング剤を打ち込んでいく場合にはまず既存の劣化したコーキング剤を撤去していくこととなります。
劣化した古いコーキング剤が残ったまま、その上から新しいコーキング剤を打ち込んでいくとうまくなじまずに性能をうまく発揮できない、すぐに剥がれてしまう、劣化が早まるという結果となります。
まずは古くなったコーキング剤をカッターを使って丁寧に除去していきましょう。
養生テープ、マスキングテープ
コーキング剤を打ち込む際に必要な場所以外に付着してしまうということがあります。
特に細かい部分ではそうした付着を防ぐのが難しいので、汚したくない部分や打ち込む場所の近くなどに養生テープやマスキングテープを貼って付着してしまうのを防ぐと良いでしょう。
ヘラ、コテ
打ち込みたい場所にコーキング剤を打ち込んだ後に、その表面部分をヘラを使って平らにしたり、綺麗に形を整えたりしていきます。
はみ出している部分や出っ張っている部分などを丁寧に整えていきましょう。
プライマーとハケ
壁の必要な部分にコーキング剤を打ち込んでも接着が弱ければすぐに剥がれてしまうこととなります。
そこで壁とコーキング剤の接着面にプライマーを使用してしっかりと接着させていくこととなります。
こうして接着力を高めると同時にコーキングの耐用年数も長くすることが期待できます。
このプライマーを塗っていく際にはハケを使用して塗っていきましょう。
中にはハケがついているプライマーも販売されているのですが、しっかりとプライマーを塗りこんでいくためには専用のハケを使用した方が塗りやすいでしょう。
コーキング作業をどのように行っていくのか
道具を揃えたとしても適切な方法で作業をしていかなければコーキングがしっかりと接着せずに機能を最大限に発揮することができません。
そこでここではコーキング作業をどのように行っていくのかという方法について述べていきます。
基本的な流れ
✅まず既存の古いコーキング剤をカッターなどを使用して切り取る、削り取るということで除去していきます。
古いコーキング剤を残したままで新しいコーキング剤を打ち込んでいくと正しく機能せずに雨漏りが止まらないままなんている時もあります。
手間にはなりますが、しっかりと古いコーキング剤を除去していきましょう。
✅その後、コーキング剤を打ち込む部分や周囲の汚れをしっかりと拭き取っていきます。
汚れが残ったままでコーキング剤を打ち込んでしまうと剥がれやすい仕上がりになります。
汚れが強い場合はブラシなどを使ってしっかりと汚れを落とし、乾燥させた上でコーキング剤を打ち込んでいくこととなります。
✅コーキング剤を使用する際には周囲にコーキング剤が付着しないように養生テープやマスキングテープで保護しておきましょう。
そしてコーキング剤を打ち込んでいくのですが、できるだけ均等になるように流し込んでいくようにしましょう。
✅打ち込んだらヘラを使って形を綺麗に整えていきます。
✅その後、周囲に貼った養生テープやマスキングテープを剥がしていきます。
それからしっかりと乾燥させていくこととなります。
一般的なコーキングについては1日乾燥させるのが理想なのですが、使用するコーキング剤によっては2~3時間ほどで乾燥できるというものもあります。
瓦屋根にもコーキングを使用することができるか
瓦が少しズレてしまうからコーキングで補修したい、隣の瓦とコーキングで接着してしまいたい、瓦の隙間をコーキングで埋めてしまいたいという場合にコーキングが使用できるかということなのですが、これは可能です。
ただ、瓦の隙間は水はけのため、換気のために必要なものもあります。
隙間をすべてコーキングで埋めてしまうことによって水はけが悪くなる、換気できなくなって湿気が中に溜まってしまうようになります。
このように瓦の場合はコーキングの使用には注意が必要です。
また、ひび割れしている瓦をコーキングすることで補修するということについてですが、これはあまりおすすめできません。
瓦の部分的なひび割れを補修する場合にはコーキング剤ではなくパテを使用して埋めてしまう方が効率的です。
コーキングを打って行う補修では雨漏りを防ぐことができない場合とは
雨漏りが発生している状況をコーキングを打ち込むことによって防ぐ、補修することができるといった場合もあるのですが、コーキングを打ち込んでも防ぐことができない雨漏りもあります。
このようにコーキングでは防ぐことができない状況の場合は本格的な補修工事や交換工事が必要となります。
屋根材が欠けている、割れている、破損している場合
スレート屋根、瓦屋根などにひび割れがしている、一部分が欠けているいう場合、コーキングを打ち込むことによって補修できそうなイメージがあります。
もちろん実際にわずかに欠けている程度であれば、コーキングを打ち込むことによって埋めてしまえる場合があるのですがこれは根本的な解決にはなっていません。
また、これらの屋根材が破損して雨漏りが発生している場合は、その破損している屋根材だけが雨漏りを起こしている原因ではないことがあります。
屋根材が破損していることで屋根材の下側に配置されている下地である野地板やルーフィングへと水が当たってしまって負担が大きくなり、これらの下地が劣化や破損してしまっている場合が多いのです。
ルーフィングなどの下地が正常に機能を果たしていないことによって雨漏りが室内などに発生している可能性が高いのです。
そのため、屋根材を部分的にコーキングして補修してしまえば良いというものではなく、下地までも補修するような大規模な工事が必要となるのです。
金属屋根の錆びや腐食が原因で穴が開いている、破損している場合
最近はスレート屋根や瓦屋根から葺き替え工事の際に金属屋根に交換するという建物が増えてきました。
これは金属屋根が軽くて丈夫という性能を持っており、屋根を軽量化することによって耐震性能を向上できることが期待されているためです。
少し前からはガルバリウム鋼板製の金属屋根が、最近ではエスジーエル鋼板製の金属屋根製品が人気となっています。
ただ、金属屋根が錆びによって穴が開いてしまった場合にはコーキングによる補修はできません。
屋根材の交換やカバー工法などの工事が必要となってきます。
まとめ
コーキングは建材と建材の隙間を埋めるという重要な役割を果たしています。
また、小さいひび割れなどであればコーキングを行うことで雨漏りを防ぐことができる場合もあります。
ただ、一度打ったとしても10~15年程度で経年劣化していくため、新しく打ち直す必要があります。
定期的にメンテナンスを行うことでその効果を持続させていきましょう。