屋根の豆知識

屋根の貫板とは?種類や耐用年数、交換費用について解説

建物の屋根は多くの部位、部材が組み合わさってできています。
それらの中には「屋根材」「雨樋」のように外からはっきり見えるものもあれば、外からでは見えないというものもあります。
そんな部位の中にも重要な役割を果たしているものは多くあるのです。
そこでここでは屋根の「貫板」の種類、耐用年数、交換などについて紹介していきたいと思います。

貫板とは

一般にはあまり知られていない貫板という部位ですが、実は屋根の中でも大事な意味合いをもっている役割を果たしている部位となっています。
ここではまず貫板の概要や役割について述べていこうと思います。

貫板が屋根で果たしている役割について

「貫板」とはスレート屋根など屋根材を使っている屋根の頂上部分に設置されることが多くなっている部位である「棟板金」をその場でしっかりと固定するための下地材として使用されています。
棟板金はその名前が表現している通り、屋根のもっとも高い位置の呼び名である「棟」と呼ばれる部分の板金を指しています。
棟板金は屋根の棟部分で屋根の合板部分、枠組み部分などを覆うように設置されることで内部を保護する部分でもあるために、常に外部にさらされるようになっており雨風や紫外線のダメージを受けやすいという特徴があります。
そのため、釘の浮きや劣化などには十分に注意が必要な場所であるとも覚えておきましょう。
棟板金は屋根のいろいろとある部位の中でも重要な位置である屋根の頂点を保護するという役割を果たしており、貫板はその棟板金を下から支える土台となりますので、この貫板が破損、腐食、劣化といった正常な状態ではないトラブルを起こすことでそれが雨漏りの原因となる場合があります。

貫板は建物全体の安定化の役割も果たしている

貫板は屋根で使われるだけでなく、建物全体の安定化という役割も果たしています。
主に柱と柱とを貫板を使ってつなぐことで建物全体の剛性、耐久性を向上させるということが期待できるのです。
貫板は普通使用される場合は建物の基礎部分や階層の間に組み込まれるようになっており、横方向に発生してくる力に対しての抵抗力を持たせます。
この時の貫板の働きによって地震や強風といった建物に害を及ぼすような影響があったとしても建物を安定化させることができるのです。
さらに貫板は建物が無用に広がることを防いで、垂直方向に発生する荷重を分散するという役割も果たします。
この力によって建物が垂直方向に歪んでしまう、変形してしまうということを防ぐことが可能となります。
木造建築では壁や床下の耐性を補強するためにも使用されることがあります。

貫板の素材によって違う種類とは

これまで貫板と言えば木製のものが主流となっていましたが、近年では様々な素材のものが販売されています。
ここではそれぞれの種類の特徴を述べていきます。

木製貫板について

昔は貫板といえばこの木製の貫板がほとんどでした。
日本では長期間にわたって使用されてきた素材でもあり、耐久性の根本的な高さや建物になじみやすい見た目から木製の建材は多くの建物で使用されてきたのです。
さらに木製の貫板は軽くて丈夫、加工しやすいというメリットがあります。
ただ、木製の貫板は湿度や気温の変化によって腐食する、劣化してしまうという欠点があり、環境によっては長期間使用できないという特徴もあります。
そのため、最近では木製の貫板を使わずに他の素材の貫板が使用されることが増えてきています。

樹脂製貫板について

最近ではなかなか「腐食しない」という理由で樹脂製の貫板を選ぶ人が増えてきています。
樹脂製の貫板はその素材の特徴としてかなり軽い上に扱いやすく、耐候性にも非常に優れているという要素があります。
素材自体が水分を吸収しないために腐食しにくいのですが、ただ樹脂製の製品は「割れやすい」という特徴があるために釘やビスの使用の仕方によっては割れてしまうということがあります。
また、樹脂製の貫板は木製の貫板よりもコストがかかりますので、そこにも注意が必要となります。

ガルバリウム鋼板製の貫板について

少し以前から建物のあちこちで建材や屋根材などで使用されている素材がガルバリウム鋼板です。
アルミニウムと亜鉛の合金であり、非常に耐熱性や耐食性に優れた素材として人気となっています。
特徴としては軽くて耐久性が高く、金属製ではありながら錆びにくいという特徴があるために長期間使用することが可能な素材となっています。
ただ、ガルバリウム鋼板製の貫板は他の素材の貫板よりも製品の値段が高価になりやすいので注意が必要です。

貫板の劣化する原因にはどのようなものがあるのか

貫板が劣化することで内部から棟板金をその場所にとめておくことができなくなることによって棟板金がその場所から外れる、浮くといったトラブルにつながります。
では貫板はなぜ劣化してしまうのでしょうか。
ここでは貫板の劣化する原因について述べていきます。

水分による錆びや腐食

貫板は設置されている場所が棟板金の内側という空間ですので、直接雨風にさらされるということは本来はありません。
しかし棟板金を設置してある程度の期間が経ってくると、棟板金の釘穴やビス穴といったどうしても発生してくる隙間部分から少しずつ内部に雨水が浸み込むように入り込んでくることとなります。
棟板金の内側に水がわずかずつであっても浸入してくることによって、水分や湿気が貫板を少しずつむしばんでいくこととなり、結局貫板を破壊していくのです。
棟板金を固定している貫板が弱ってしまうことによって棟板金を固定している釘やビスに対しての固定力が低下してきます。
釘やビスの固定力が低下しまうと釘が抜けてしまう、ビスが外れるということが起こり、そのことで固定が弱まった棟板金がズレる、外れる、落下してしまうことにつながるのです。
もし棟板金がズレたり、外れてしまうと保護する部分がなくなってしまうこととなって屋根の頂上部分にある棟から雨水が大量に屋根の内部に入り込むこととなります。
入り込んだのがわずかな雨水の侵入であればルーフィング(防水紙)が防ぐことができるかもしれませんが、内部に大量に水が浸入するとルーフィングが雨水を支えきれなくなり、ルーフィングの劣化や雨漏りの原因につながっていきます。

熱膨張

熱膨張というのは棟板金が金属製の場合によく起こる症状です。
近年はガルバリウム鋼板製などの棟板金が増えているために熱膨張という症状には注意しなければいけません。
これは金属が夏の暑い日などに強い日差しを受け続けることによって高温になり、熱膨張を起こすというものです。
金属は高温になるとわずかに膨張するという特性があり、こうして膨張するときに貫板と固定している釘やビスなども一緒に引っ張って浮き上がることとなります。
こうして膨張した棟板金は夜になって気温が低くなってくると収縮していきます。
ただ、棟板金は収縮しても浮き上がった釘やビスはそのままの位置で残り、収縮はしてきません。
こうして釘などはどんどん緩んでいくのです。
このように膨張と収縮を何度も繰り返すことによって釘やビスが緩んでいってしまうのです。

貫板と棟板金の固定力を高めるなどのメンテナンスとは

さいたま市浦和区にて屋根修理(スレートから横暖ルーフへのカバー工法)

こういった貫板や棟板金を屋根の上で安定感がある状態で維持していくには定期的に適切なメンテナンスを行う必要があります。
しかし現実的には貫板を点検、チェックしたい時でも貫板が存在しているのが棟板金よりも内側なので棟板金を一度外さなければ貫板を確認することができません。
そのため、貫板だけ単独で点検メンテナンスをするというのではなく、屋根を全体的に点検する際、棟板金を点検する際に内部にある貫板も合わせて点検してしまうという方が効率的です。
ここでは棟板金と貫板のメンテナンスを合わせて紹介していきます。

棟板金を設置して時間が経ち、経年劣化が進むことで釘やビスはわずかずつですが緩んでいきます。
釘やビスが緩んでくると固定力が低下していきます。
釘やビスが緩んできた際に棟板金や貫板そのものは劣化しておらずにまだ使えるという場合には釘の打ち直しやビスの締め直しといった作業が行われます。
普通に使用していると棟板金の釘はだいたい8~10年ほどで緩んできます、もちろん目安であり、これは環境条件によって差が出てきます。
日差しが特に強い、雨や雪がよく降る、風が強いなどの条件がある地域では、固定している釘にかかる負担も大きくなるために劣化が早まり5~7年ほどで緩んでくることがあります。
それらを踏まえて劣化が予想されてくる時期を目安にしてメンテナンスを行いましょう。
貫板が傷んだりしていないか、棟板金が壊れていないのか、釘やビスが浮いたりすることで緩んでいないかということを確認して正常に固定されているのかということをチェックしていきましょう。
棟板金に釘を打って固定していくという場合、真上から釘を打つ「脳天打ち」では釘穴部分に隙間ができてしまいますので、できるだけ隙間を作らないように側面から釘を打ち込むという方法で釘を打ちます。
ただあまりにも棟板金や貫板が傷んでいる場合には「新しいものに交換」「塗装メンテナンス」といった対応をすることとなります。

まとめ

貫板は外からは見えない部分ではありますが、屋根の頂点を支える棟板金を固定するという重要な役割を果たしています。
近年は劣化しにくい樹脂製のものが増えてきており、メンテナンス時にそういった素材のものに交換するというのも良いでしょう。
ウェルスチールでは貫板のみの交換を承っておりますので、まずは点検からお気軽にご相談ください!

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