屋根の「棟板金」とは?飛散やくぎ浮きなどのメンテナンス方法について
私たちが普段過ごしている住宅には必ず屋根が存在します。
その中でも屋根の頂部には「棟板金」と呼ばれる部分があり、屋根材同士を接合させる時に使用される重要な部位になっています。
今回はそんな棟板金について、劣化症状や飛散してしまうのか、釘が浮いてしまうのかといったことについて、メンテナンス方法について紹介していきたいと思います。
棟板金とはどういったものか、どういった役割を果たしているのか
マンションやビルの屋上のように屋根には平たい形状のものもありますが、一般的な住宅の屋根は屋根材が頂上部分で組み合わされて結合している形状になっています。
この屋根材同士が繋がっているもっとも高い位置にある部分が「棟」と呼ばれる部位となっています。
更にその棟を板金でカバーしている箇所を「棟板金」と呼んでいます。
棟板金の概要とは
「板金」とは金属でできていることが多いことからそう呼ばれている部分で、最近ではガルバリウム鋼板などの金属製のものが一般的になっています。
棟板金は下の部分から葺き上げられてきたスレート屋根や金属屋根といった屋根材を「貫板」と呼ばれる板で押さえて、その貫板の上から棟板金を被せて固定するというものになっています。
棟は雨風を受けやすい箇所ですので、そこから内部に雨水が浸入していくことを防ぐことが可能となっています。
▷人気を集めている「ガルバリウム鋼板」とは?メリット・デメリットを解説
棟板金の固定方法と果たしている役割とは
先ほどご紹介した貫板と棟板金はしっかりと固定されており、以前は鉄の釘で固定することが多くなっていました。
鉄製の釘は雨風によって錆びてしまうことが多く、釘が錆びることによって抜けてしまう、緩んでしまうといったケースが多く見られました。
固定力が弱まることによってその隙間から雨水が浸入したり、棟板金が外れてしまったりすることにつながっていくのです。
最近ではそれらを改善するために鉄製の釘ではなく、ステンレス製のビスを使って固定するということも増えてきています。
ステンレス製のビスであれば、錆びにくく、固定力が弱まらないため安定して利用できるというメリットがあります。
こうしてしっかりと棟板金が固定されることによって屋根材同士の結合部分から雨水が浸入するということを防止し、雨漏りを防ぐということが可能となっていきます。
棟板金はなぜ劣化するのか、劣化サインとは
棟板金は一度設置すると永久に使えるというわけではなく、徐々に劣化していきます。
ではなぜ棟板金は劣化するのでしょうか、また劣化してくるとどういった劣化サインが出てくるのでしょうか。
そもそも被害を受けやすい場所に設置されている
棟板金は棟の頂上部分に設置される板金ですので、雨風や太陽光、雪などの被害を受けやすいものとなっています。
そういったものにさらされることによって劣化するスピードも最も速いといっても過言ではありません。
設置されている場所がそもそも劣化しやすい場所だと考えておきましょう。
棟板金を固定している鉄製の釘が錆びる、抜ける、緩まる
昔は棟板金を固定するのには鉄製の釘が使われていました。
最近ではステンレス製のビスを使って固定するということも増えてきていますが、昔からある建物などではまだまだ鉄製の釘が多く使われています。
棟板金を固定している鉄製の釘はたいてい10年ほどで抜けてしまうということがあります。
まず鉄製の釘は雨風にさらされて太陽光で乾く、また濡れるということを繰り返すことによって錆びてしまうことが多くあります。
釘が錆びることによって釘自体の耐久性や棟板金を固定する力が大きく低下していくようになります。
さらに鉄製の釘が錆びることで折れてしまうということもあります。
釘が緩まっていくというのには「熱」が関係しています。
棟板金は金属ですので、太陽光などによって高温になると膨張します。
これを「熱膨張」と言います。
こうして棟板金が昼間に膨張し、夜になって気温が低下してくると棟板金の温度も低下し、収縮していくこととなります。
膨張する時には固定している釘も引っ張られて浮かび上がっていくこととなり、収縮する時には棟板金だけが小さくなっていくため、浮いた釘はそのまま浮いたままになってしまいます。
こういった膨張と収縮が繰り返されることによって釘がどんどん緩まっていくこととなります。
この現象は日当たりが良い、日差しが強い、南向きなどで屋根が高温になりやすいといった建物の屋根で特に起こりやすいものとなっています。
緩くなった釘はそのうち抜けてしまうため、棟板金が落下してしまうこともあります。
「釘が緩んでいる」というのはかなりの劣化サインだと言えるでしょう。
棟板金が錆びている、破損している
棟板金に関しては釘が抜ける、コーキングが劣化しているといったことによってトラブルになることが多いのですが、実際には棟板金自体が錆びたり破損したりするということもあります。
屋根の頂点の部分で雨風や太陽光にさらされていることが原因となるもので、錆びにくいガルバリウム鋼板の棟板金であっても劣化していくということがあります。
棟板金が錆びている、破損しているという時は塗装メンテナンスを行ったり、必要に応じて交換するということを行っていきましょう。
棟板金のメンテナンス方法について
棟板金は本体やその周囲が劣化していくことがありますので、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
また、その時期でなくても飛散している、落下している、釘が浮いているという時にはメンテナンスをしなければいけません。
その際、棟板金だけでなく、内部に設置されている貫板についても確認するようにしましょう。
貫板は設置されている場所が棟板金の中ですので、棟板金を外さなければ確認することができません。
棟板金を固定している釘を打ち直す、ビスを締め直す
棟板金は貫板と固定がされているのですが、この釘が緩くなる、錆びるという状態になると固定力が弱くなってきます。
固定力が弱まることで棟板金が外れてしまう、飛散してしまう、落下してしまうということがあります。
こうした場合は釘を打ち直すことによって固定力を回復させることができる場合があります。
棟板金を固定している釘については10年弱ほどで緩くなってくるとされています。
ただ、風が強い、日差しが強い、降水量が多いといった地域については5年程度でダメになってしまう場合もあります。
メンテナンス時には釘が緩んでいないか、錆びていないかといったことを確認するのですが、棟板金は屋根の頂上部分にあるため、素人が自分で確認するのは非常に危険な作業となります。
この確認についても業者に依頼するのが安心です。
釘を打つ方法ですが、棟板金を貫板に打って固定する場合、釘を真上方向から打ち込む「脳天打ち」をすると釘穴に隙間ができてしまい、その隙間から雨水が内部に侵入しやすくなってしまいます。
そのため棟板金を釘で打って固定する場合には側面から打ち込むのが基本となります。
また、ステンレス製のビスを使っている場合も点検は必要です。
ビスについては錆びるということは少ないのですが、緩んでいくことがありますので、これも締め直すという必要があると言えます。
棟板金に塗装をし直す場合
棟板金に関する劣化は釘の緩みや周囲のコーキング材に関係するものが多いのですが、棟板金本体の劣化に関する場合もあります。
棟板金が変形している、大きく破損している、割れているといった時には新しい棟板金に交換しなければいけません。
ただ、わずかなひび割れや塗装が薄くなっているという場合には塗装をし直すことによって補修できるということがあります。
点検時に棟板金が色褪せしている、塗装が薄くなっていることが確認された場合は塗装をし直すということで効果を回復させることができます。
しかし、棟板金だけを塗装するということは実際にはあまりなく、屋根全体で塗装をし直すときに棟板金も一緒に塗装をするということが多くなっています。
劣化したコーキング材を打ち直す
棟板金や釘以外に劣化していくとすれば、棟板金の周囲に使用されているコーキング材の劣化が考えられます。
棟板金本体は10年以上の耐用年数があるという場合であってもコーキング材は5~7年ほどで劣化していってしまうために、先にメンテナンスの必要性が出てきます。
コーキング材は劣化してくると「剥がれる」「ボロボロになって崩れる」ということがあります。
コーキング材の劣化によって、その部分に隙間ができてしまうために、その部分から雨水が内部に侵入し、下地材を劣化させたり、貫板を腐食させたりするということにつながっていきます。
そのため、コーキング材については定期的にメンテナンスを行う必要があります。
必要な分だけ充填することによって、効果を回復させることができるでしょう。
必要に応じて棟板金本体や貫板を交換する
点検を行った際に棟板金が変形している、破損しているという場合や貫板が腐食しているという時には新しいものに交換する必要があります。
この際、以前は木製の貫板が多かったのですが、最近では腐食しにくい樹脂製のものに交換するという傾向があります。
こうした棟板金や貫板については単独で交換するというのは難しく、効率も悪いために交換する際には下地材なども合わせて交換してしまうのが一般的です。
<施工事例>
▷埼玉県北葛飾郡杉戸町にて屋根修理(雨樋の交換、棟板金の交換)
▷さいたま市大宮区にて屋根修理〈貫板の交換〉・屋根、外壁塗装
まとめ
屋根の部位の中でも「棟板金」は結合部分から雨水が内部に侵入するのを防ぐ重要な役割を果たしている部位となっています。
屋根の頂上部分にあるため、雨風や太陽光によるダメージも多く受けるため、定期的にメンテナンスを行う必要があります。