屋根の豆知識

瓦屋根の屋根修理に使われる漆喰について

瓦屋根に使われる漆喰について

屋根材には色々な種類があり、瓦屋根もその一つです。
瓦屋根は耐用年数が長く、日本の建物らしい屋根材として安定した人気がありますが、瓦屋根を屋根の上に固定するためには「漆喰」が必要となります。
そこでここでは瓦屋根における漆喰の役割、必要性とそのメンテナンスの方法などについて紹介していきたいと思います。

屋根に使用される漆喰とはどんなものか

日本では現在瓦屋根に多く使われる漆喰ですが、実は漆喰は世界中で広く利用されている建築材でもあります。
ここではそんな漆喰とはどういったものなのか、どういった役割を果たしているのかについて紹介していきます。

漆喰の概要について

漆喰とは石灰石に水を加えて練り合わせた「水酸化カルシウム」が主な原料となっています。
その主原料に「布海苔」「苆」「粘土」などを混ぜ合わせて、さらに練り込んでいくことで作られていきます。

世界中では屋根材、石材の接着剤として、目地の充填剤として、外壁材として利用されるなど幅広い使用方法となっています。
日本では外壁の塗り壁材として長く使われてきており、城や寺院などにも使われています。
また、日本の家屋では屋根に瓦を使うことが多くありましたが、その瓦屋根を屋根の上に固定する材料としても多く利用されています。

漆喰の素材ごとの種類とは

漆喰にはその素材、材料によっていくつかの種類があります。
どういった用途に使用するのかによって、それらの種類を使い分ける必要があります。
まずはどういった種類があるのかを紹介していきます。

・本漆喰
これがもっとも多くされている漆喰で、一般的に「漆喰」というとこれを指すことが多くなっています。
塩焼き消石灰、布海苔、苆、粘土などを水で混ぜて練り込んで作られるもので、昔からの製法で利用されている漆喰だと言えます。

・土佐漆喰
こちらは塩焼き消石灰に発酵させたワラ、水を混ぜて作った漆喰です。
土佐漆喰は太陽光、紫外線に当たると色合いが薄い黄色から茶色へと変色していきます。
その色合いが気に入って利用する人もいます。
また、耐久性、強度が高いために床、壁、天井など幅広く使用されています。

琉球漆喰
沖縄の現地では「ムーチー」「ムチ」と呼ばれている漆喰です。
これらの言葉は沖縄の方言で「餅」を意味しています。
消石灰とワラと水を混ぜて作りますが、土佐漆喰よりもワラを多く混ぜるのが特徴です。
沖縄では屋根の瓦に多く使用されています。

・既調合漆喰
塩焼き消石灰に海藻、海苔、炭酸カルシウムなどを混ぜて作っています。
中には合成樹脂や化学繊維が入った漆喰もあり、化学物質を混ぜて使用するものが多くなっています。

漆喰はどういった役割を果たしているのか

漆喰は瓦屋根を固定する素材として使用されるだけでなく、壁材としても多く使われています。
ここでは特に屋根で漆喰を使用する際の役割について紹介していきます。

・屋根の棟と瓦との隙間を埋めて固定させる
・瓦と瓦の隙間を埋める
・瓦が屋根から滑り落ちないようにする
・葺き土を雨風から守る
・瓦同士を接着して固定するために使用する
・隙間から雨風や小動物、ゴミなどが建物内部に侵入するのを防ぐ

といった役割があります。

基本的には「瓦を固定する」「余分な隙間を埋める」という使い方が多くなっています。

漆喰の劣化について

瓦屋根のメリットとして「耐用年数が長く、メンテナンスの必要がない」ということがあります。
確かに瓦屋根自体にはメンテナンスの必要がないほど耐用年数が長く設定されているのですが、それを支える漆喰はそこまで耐用年数が長くはありません。

たいていは15~20年前後となっており、それくらいの期間を目安にメンテナンスをする必要があります。
そこでここでは漆喰の劣化について紹介していきます。

漆喰はなぜ劣化していくのか

漆喰が劣化してくる理由、原因としては以下のようなものがあります。

・長期間、雨風にさらされることで劣化する
・太陽光、紫外線を受け続けることで劣化する
・昼と夜、夏と冬などの気温差によって劣化する
・時間とともに経年劣化する

といったことがあります。

漆喰は長く時間が経つことによって乾燥して硬くなるという性質を持っています。
そうして硬くなった状態で雨風にさらされる、気温差によるダメージが続くといったことがあると、劣化してしまうのです。
もちろん、長期間経つことによって単純に経年劣化するということもあります。

漆喰が劣化してくることでどういった悪影響が起こるのか

漆喰は果たしている役割が多くあるため、劣化することによって多くのトラブルが発生してきます。
接着力が弱くなると瓦を固定する力が弱まり、瓦がズレる、落ちる、他の瓦とぶつかるといったことが起きてきます。
こうなると瓦が割れてしまったり、隙間ができてそこから雨水が浸入したりするということが起きてきます。

また、瓦が移動しやすくなると大雨や強風の時に瓦が下に落下してしまう可能性があります。
瓦は重量があるため、落下すると非常に危険です。
漆喰が劣化することによって多くの悪影響が起きやすくなるのです。

漆喰が劣化してきたサイン、発生する症状とは

漆喰が劣化してくるといくつかの症状が出てきます。
それが漆喰の劣化サインとなってきます。

こういった症状が出てくると漆喰のメンテナンス時期に入っていることのサインとなりますので、これらのサインを見逃さないようにしなければいけません。
ここでは漆喰が劣化してくると発生する症状について紹介していきます。

漆喰が浮く、もしくは剥がれて内部の土が流出してしまう

棟と瓦を接着している漆喰が浮いてきたり剥がれてしまうことで、棟の内部の土が雨風に打たれて外部に流れ出てしまうということがあります。

瓦屋根にとって、棟部分は屋根をしっかりと支える土台となる部分ですので、この棟部分の土が外部に流れてしまうことは「棟の形が変形してしまう」「雨水が内部に浸入しやすくなる」という被害につながるものとなります。

このように棟がダメージを受けることは屋根の他の部位や屋根裏などにまで被害が広がってしまうので注意が必要です。
軒先に土やコンクリートの欠片のようなものが落ちているということは、土が流出している可能性がありますので注意しなければならないと言えます。

瓦がズレている、抜け落ちている

瓦屋根の部分が台風や大雨、地震などによってズレが起きたり、抜け落ちたりすることがあります。
こうして瓦がズレて隙間ができてしまうと、そこから棟の内部に雨水が浸入していくこととなり、漆喰を劣化させていくということがあります。

漆喰が劣化していくことによって瓦と漆喰との間の接着が弱まり、さらに瓦がズレていく、抜け落ちてしまうということがあります。
中に入り込んだ雨水が漆喰を外部に流していってしまうということもあり、大部分が一気に剥がれていってしまうということもあります。

雨漏りが発生している

漆喰の劣化しているサインとしてかなり症状が重い状態なのが「雨漏り」です。
建物の内部で雨漏りが発生している、部屋内に雨漏りがあるということは屋根材の下部分に設置されている「ルーフィング」と呼ばれる防水シートにもトラブルが起きている可能性が高いからです。

防水シートが雨水の被害を強く受けているということは屋根材の下地もすでに雨水は通過しているほど劣化しているということになるため、防水シート、下地、漆喰、屋根材などすべてを交換するような大規模な工事が必要になる場合があります。
雨漏りがしているということは漆喰だけが劣化しているのではなく、その他の部位も劣化している、破損しているという可能性が高いのです。

漆喰のメンテナンス方法とかかる費用の概算とは

漆喰が劣化している、メンテナンス時期が来ているという場合は補修工事を行う必要があります。
漆喰がどの程度劣化しているかによってメンテナンスの方法が分かれてきます。
ここではそれらのメンテナンスの方法とかかってくる費用の概算を順に紹介していきます。

漆喰の詰め直し工事

漆喰のひび割れ、軽微な破損や剥がれなど、漆喰の劣化がそれほど深刻でない状態であれば「漆喰の詰め直し」という補修工事を行うこととなります。
これはその名前の通りに劣化してきている古い漆喰を取り除いて、新しい漆喰を充填していく工事です。
この工事を行う際には頂上部分にある「棟瓦」を外して工事を行う必要がないため、期間や費用はそれほどかかりません。
補修工事を行う場合は「1m」単位で計算されるのですが、詰め直し工事の場合は5000~7000円ほどとなることが多くなっています。
例えば漆喰が50mであれば、かかる費用は25~35万円程度となることとなります。
また、それに足場の費用がかかりますので、それを合わせた費用が合計費用となってきます。
漆喰の劣化がそれほどひどくない場合にはこちらの補修工事を行うと良いでしょう。

棟瓦の積み直し、積み替え及び漆喰の詰め直し工事

大きく瓦がズレている、建物内部で雨漏りがしているといった場合には漆喰の多くが剥がれてしまっている可能性があります。
この段階まで漆喰の劣化が進んでいると、一度棟瓦を取り外した上で残っている古い漆喰や土をすべて取り除き、改めて土台を作り直した上で漆喰の詰め直しを行い、瓦を元通りに設置していくという工事が必要となります。
かなり大規模な工事となるため、期間や費用も多くかかることとなります。
瓦に問題がない場合はそのまま使用することができますが、屋根材も新しくする場合はそれだけ費用が余計にかかることとなります。
こういった全面的な工事の場合は100~300万円程度かかることもありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

〈実際の施工例〉



まとめ

漆喰は瓦屋根を支える重要な部材です。
瓦屋根自体は耐用年数が長く設定されているのですが、漆喰は15~20年ほどの耐用年数となっているため、劣化に合わせて補修を行う必要があります。
また、耐用年数より前であっても劣化のサインが出ている場合はできるだけ早くメンテナンスしましょう。

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