屋根の豆知識

屋根の構造ってどうなってるの?知っておくと安心な基礎知識

住宅のなかでも、もっとも外からの影響を受けやすい「屋根」。雨や風、紫外線から家を守ってくれる存在ですが、その構造について深く知っている方は少ないのではないでしょうか。

この記事では、屋根の基本構造や役割、屋根材との関係、点検時に見るべきポイントまでわかりやすく解説します。屋根リフォームや修理を検討している方も、ぜひ参考にしてください。

屋根の構造はどうなっている?

屋根というと、外から見える「瓦」や「スレート」などの屋根材を思い浮かべがちですが、実はその下にはいくつもの重要な部材が重なっており、互いに役割を分担して屋根全体の機能を支えています。

住宅の屋根は、「雨や風を防ぐ」という基本的な役目だけでなく、「建物の強度を維持する」「断熱・遮音効果を持たせる」「美観を整える」といった多様な働きを果たしています。そのためには、表面の屋根材だけでなく、内部構造までしっかりと設計・施工されている必要があります。

屋根の基本構造(上から順)

屋根材(瓦・スレート・金属など)

屋根の最表層にある素材で、雨・風・紫外線・飛来物など外部からの直接的な影響を受け止めます。瓦や金属板、スレート、シングル材など、地域性や住宅デザインによって選ばれる素材はさまざまです。見た目や断熱性、重量などに大きな差があり、屋根全体の性能に大きく関わります。

防水シート(ルーフィング)

屋根材の下に敷設される防水層で、「二次防水」とも呼ばれます。屋根材の隙間から雨水が侵入しても、ルーフィングがあることで建物内部まで水が達するのを防ぎます。長年の風雨で劣化が進むと、雨漏りの原因になるため、定期的な点検が必要です。

野地板(のじいた)

屋根材とルーフィングを支える下地材で、合板や構造用合板(コンパネ)が一般的です。この板が劣化したりたわんだりすると、屋根全体の強度が低下し、屋根材がずれたり割れたりする原因になります。水分や湿気の影響を受けやすく、雨漏りが続くと腐食する恐れもあります。

垂木(たるき)

野地板を支える横架材で、屋根の形状や勾配を作る骨格部分です。垂木の間に断熱材を入れることで、断熱性や遮熱性を高めることも可能です。垂木が劣化すると、屋根が波打ったように見えるなど外観にも影響が出ます。

母屋(もや)・梁(はり)

屋根全体の荷重を柱に伝える役目を持つ構造材です。母屋は垂木を支える横架材、梁は柱と柱をつなぐ横材であり、建物の強度に大きく関わります。地震や台風などの災害時にもこの部分の強度が住宅の被害を左右します。

屋根材によって構造が変わる?

屋根の基本構造は、どの屋根材を使っても「屋根材 → 防水シート(ルーフィング) → 野地板 → 垂木 → 母屋・梁」という重層的な構造になっています。ただし、実際には使用する屋根材の特性に応じて、構造の細かな設計や必要な補強が異なってきます。

屋根材の「重さ」「防水性」「断熱性」「耐久性」といった性能によって、構造材の強度の調整や、断熱材の厚み、防水シートのグレードなどが決定されるため、リフォームや新築の際には屋根材と構造の相性も十分に考慮する必要があります。

✅瓦屋根

日本伝統の屋根材である瓦は、1枚あたりの重量が重く、屋根全体としてもかなりの荷重がかかります。

そのため、垂木や梁などの構造材には特に高い強度が求められます。古い住宅では、瓦屋根を軽量な屋根材に変更することで耐震性が向上するケースもあります。

また瓦の隙間から雨水や風が吹き込まないよう、防水シート(ルーフィング)の質にも注意が必要です。漆喰による補強やメンテナンスも定期的に行う必要があります。ただし、瓦自体は非常に通気性に優れ、夏場でも熱がこもりにくいという利点があります。

✅スレート屋根(カラーベスト)

スレートは薄くて軽量な屋根材で、昭和以降の住宅で多く使用されてきました。軽いため構造材への負荷は小さく、木造住宅でも扱いやすい素材です。

ただし、防水性能は屋根材そのものではなく、下に敷かれたルーフィングに大きく依存しているため、防水シートが劣化すると一気に雨漏りリスクが高まります。

また、経年劣化によって表面塗装が剥がれるため、10~15年に一度の再塗装メンテナンスが推奨されます。

✅金属屋根(ガルバリウム鋼板など)

ガルバリウム鋼板をはじめとした金属屋根は、非常に軽量で、既存の屋根の上に被せる「カバー工法」にも適しています。

屋根の重量が大幅に軽くなるため、耐震性の向上にもつながり、築年数の経った住宅にも導入されやすい屋根材です。

しかし、薄い金属素材であるため、断熱性・遮音性は他の屋根材に比べて劣ります。そのため、断熱材や遮音シートなどの追加施工がほぼ必須です。特に夏の暑さ対策や雨音の軽減を希望される場合は、屋根構造全体で熱・音を遮る工夫が必要になります。

屋根の役割と、なぜ構造を知ることが大事なのか

屋根は、家の最上部にあるだけに最も過酷な自然環境にさらされている部分です。雨風はもちろん、紫外線や気温の変化、積雪や落ち葉など、あらゆる外的ストレスを日々受けています。

その中で、屋根が果たしている役割は「ただ上に乗っているだけ」のものではありません。実際には、住まいの快適さ・安全性・耐久性を左右する、非常に重要な構造体なのです。

雨水の排水

屋根の形状や傾斜(勾配)は、単なるデザインではなく、効率的に雨水を排水するために設計されています。

特に切妻屋根・寄棟屋根などの傾斜屋根では、雨がスムーズに流れることで屋根材への負担を減らし、劣化を遅らせます。

また、屋根の谷部分には「谷樋(たにどい)」という金属製の排水設備があり、雨水を集めて軒樋(のきどい)へと流す重要な役割を担っています。

この排水機能が正常に働かなくなると、雨漏りや腐食、さらには住宅全体の劣化にもつながるため、屋根構造の理解は非常に重要です。

断熱・遮熱性能の向上

屋根は、外気との接触面積が大きいため、断熱・遮熱性能がそのまま室内環境に直結します。

例えば、真夏の日差しが直接屋根に当たると、表面温度は60〜80℃にも達します。その熱が屋根裏や天井を通して室内に伝われば、エアコンの効きが悪くなり、電気代の増加にもつながります。

反対に、断熱材をしっかり施工したり、遮熱塗料を使うことで、冷暖房の効率を大きく改善できるのです。

構造的に見ると、「屋根材 → 防水シート(ルーフィング) → 野地板 → 断熱材(グラスウールや発泡材など)」という層が断熱・遮熱の鍵を握っており、どこか一箇所でも劣化や欠損があると性能は大きく低下します。

屋根リフォームを考える際は、屋根の表面だけでなく内部構造にも目を向けることがポイントです。

建物の耐震性・耐風性への影響

屋根は住宅全体の「重心」にも影響を与えます。瓦屋根のように重量のある屋根材を使っていると、地震の際に上部が揺れやすくなるため、倒壊リスクが高まることがあります。

そのため、耐震リフォームでは、軽量な金属屋根(ガルバリウム鋼板など)に葺き替えることで、重心を下げ、建物の揺れを抑える対策が取られるケースも多くあります。

また、強風・突風による屋根の吹き飛びや損傷も、屋根構造がしっかりしていれば防ぎやすくなります。

なぜ屋根構造を知っておくべきなのか?

屋根構造に関する基本的な知識を持っておくことで、業者からの説明や提案を正しく理解できるようになります。

また、必要以上の工事を勧められても、構造の知識があれば冷静に判断し、不必要な出費を避けることにもつながります。

たとえば、「ルーフィングだけ劣化しているから張り替えましょう」「野地板に腐食があります」といった指摘を受けた際に、「それがどこで、どういう役割なのか」が分かるだけで、工事の必要性を自分で見極める材料になります。

ウェルスチールでは、屋根構造を分かりやすくご説明しながら、必要な施工内容をご提案しております。

「業者任せではなく、納得してリフォームしたい」「無駄のない適切な工事をしたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

見えないからこそ注意!屋根構造に潜むリスク

屋根は、住宅のなかでも日常生活では目に触れにくい場所です。

そのため、不具合が起きてもすぐに気づきにくく、雨漏りなどの「目に見える被害」が出てからようやく異常が発覚するケースも少なくありません。

しかし、屋根の内部構造には、見えないからこそ放置されやすく、気づいたときには深刻な状態になっているリスクが潜んでいます。

以下に、特に注意したい代表的な「構造部の劣化リスク」をご紹介します。

ルーフィング(防水シート)の破れや劣化

ルーフィングとは、屋根材の下に敷かれている防水機能を担う重要なシートです。

表面の屋根材が多少傷んでいても、このルーフィングがしっかり機能していれば、すぐに雨漏りが起きることはありません。

しかし、ルーフィング自体が経年劣化や施工不良で破れたり、たるんだりしてしまうと、内部へ直接雨水が浸入するリスクが発生します。

特に築20年以上経過した屋根では、表面は一見きれいでも、防水層が寿命を迎えていることが多いため注意が必要です。

なお、ルーフィングの劣化は屋根材を剥がさないと確認できないため、プロによる定期的な点検が非常に重要です。

野地板の腐食・たわみ

野地板は、屋根材やルーフィングを支える「構造の土台」となる合板です。

この野地板が湿気や雨水の影響で傷むと、板が反ったり、腐ったりして、屋根の沈みやたわみとして現れることがあります。

症状が進行すると、屋根の一部が下がって見える、瓦が不自然にずれる、天井にシミができるなどの異常が生じ、放置すれば雨漏りや倒壊のリスクも高まります。

劣化が進んでしまった野地板は補修が難しく、全面張り替えが必要になるケースもあります。

垂木・梁のシロアリ被害や構造劣化

屋根の下地を構成する「垂木(たるき)」や「梁(はり)」といった木材部分は、住宅の骨組みにあたる非常に重要な構造材です。

これらが湿気を長期間吸収し続けると、木材腐朽菌やシロアリの被害を受けてしまう恐れがあります。

特にシロアリは湿った木材を好んで侵食し、内部からスカスカにしてしまうため、外見では異常に気づきにくいのが特徴です。

構造材が侵食されると屋根の強度が著しく落ち、耐震性の低下にもつながるため、早期発見・早期対処が欠かせません。

屋根点検でプロがチェックするポイント

専門業者による屋根点検では、屋根材の表面だけでなく内部構造の劣化もチェックされます。

点検チェック項目の一例

  • 屋根材のズレ・ヒビ・浮き
  • 棟板金の浮き、釘抜け
  • 雨樋の詰まりや傾き
  • ルーフィングの劣化(赤外線カメラなどで診断)
  • 屋根裏の雨染み・断熱材の劣化
  • 野地板・垂木の腐食やたわみ

点検は5〜10年に一度が理想です。特に築15年以上経過した住宅や、屋根塗装・リフォーム歴がない場合は早めの点検が推奨されます。

屋根の構造を踏まえたリフォームの選択肢

屋根の構造は、住まいの安心・安全に直結する非常に重要な要素です。

目には見えなくても、経年劣化や自然災害の影響で、構造部材がダメージを受けているケースは少なくありません。

もし「屋根のたわみがある」「築20年以上経っていて点検を受けていない」「雨漏りを何度も繰り返している」といった不安がある場合、構造を含めた屋根リフォームを検討するタイミングかもしれません。

ここでは、屋根構造に配慮した主なリフォーム方法をご紹介します。

葺き替え工事

屋根リフォームの中でもっとも抜本的な方法が「葺き替え工事」です。

これは、既存の屋根材をすべて撤去し、防水シート(ルーフィング)・野地板・必要であれば垂木や母屋に至るまで屋根構造全体を見直すリフォームです。

【葺き替え工事が向いているケース】

  • 築30年以上経過している
  • 雨漏りの原因が構造部に及んでいる
  • 屋根がたわんでいる・沈んでいる
  • 台風や地震によるダメージが大きい

屋根構造の再構築を含むため費用は高めになりますが、今後20~30年安心して住み続けられる屋根をつくるという意味では、非常に価値のある選択肢です。

カバー工法(重ね葺き)

カバー工法は、既存の屋根材の上に防水シートを敷き、その上から新しい屋根材(主に軽量金属屋根)をかぶせる方法です。

屋根の解体が不要なため、廃材処分も少なく、費用と工期を抑えることができるのが大きなメリットです。

ただし、下地の野地板が健全であることが条件となるため、事前の調査は欠かせません。

【カバー工法が向いているケース】

  • 野地板や構造材に大きな傷みがない
  • コストを抑えつつ機能性を高めたい
  • 工事中の騒音やホコリを最小限にしたい

構造体に問題がなければ、断熱性・防音性・耐久性を向上させる手軽なリフォーム手段として人気があります。

まとめ

屋根の構造は普段見ることができないぶん、劣化や不具合に気づきにくい場所です。

しかし、構造の基本を知っておくだけで、業者選びの判断がしやすくなり、不必要な工事を避けられ、屋根リフォームの内容を理解しやすいといった大きなメリットがあります。

少しでも屋根の状態が気になる方は、まず点検から始めてみてください。

ウェルスチールでは、屋根構造のプロがていねいに診断し、最適なメンテナンスプランをご提案いたします。

お気軽にご相談ください。

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