スレート屋根の劣化サインとメンテナンス方法について解説
日本では昔から瓦屋根が多く使われてきましたが、その他にも金属屋根やスレート屋根などさまざまな種類の屋根材が使用されるようになってきています。
そこでここではスレート屋根の劣化サインとそのメンテナンス方法について紹介していきたいと思います。
スレート屋根には二種類ある
そもそも「スレート」とは粘板岩を薄く板状に加工して使用する屋根材のことを指していました。
さまざまな利用メリットがあることから外壁材、屋根材として利用されています。
ただこのスレートには大きく二種類あり、「天然スレート」と「化粧スレート」とに分かれています。
まずはこの違いを覚えておきましょう。
天然スレートとはどういったものか
もともとの由来となっているもので、天然石である粘板岩を素材としているスレートです。
この天然スレートは天然石が持つ高級感、エレガントさが人気となっており、独特の青と黒のコントラストが美しさを強調しています。
ただ、値段が高くなりやすく、一般の住宅に使うにはコスト面で負担が大きくなります。
また、天然石ということもあって施工に技術が必要であり、しかも重ねて塗装をすることができないという制限もありますので使い方はかなり難しいという特徴があります。
そのため、かなり使用は限定的なものとなっており、一般にはあまり普及はしていません。
化粧スレートとはどういったものか
「化粧スレート」と呼ばれているものは、セメントを原材料としたスレートのことです。
天然スレートよりも価格がはるかに安く、施工性も高く、デザインも豊富ということもあって一般的に広く普及しています。
近年、「スレート屋根」という呼び方をする際には、この化粧スレートのことを指すようになっています。
人工的に作るものですので、デザイン性やカラーバリエーションも非常に種類が多く、周囲の風景や建物の外壁の色合いとも合わせやすいという特徴があります。
利用メリットの多いこの化粧スレートですが、2004年以前に製造された化粧スレートの中には「アスベスト」が含まれていることがあるというのが最大の注意点です。
アスベストは人体に有害な物質であり、2004年以降は国内では製造、販売が禁止されています。
スレートの利用メリットとは
スレート屋根は日本では幅広く利用されています。
それはスレートに多くの利用メリットがあるからだと考えられています。
ここではそれらの利用メリットについて紹介していきます。
重量が軽いということもあって耐震性が高い
近年「屋根の軽量化」が耐震性能を高めることとして扱われるようになっており、屋根が軽いということの重要性が高まっています。
日本では古い昔から瓦屋根が屋根材として多く使用されてきましたが、この瓦屋根はとにかく重量があり、その重量から建物にかかる負荷が大きくなり、地震があった際には大きく揺れるということもあって、耐震性に不安がもたれるものとなっていました。
そのため、近年では耐震性能を高める耐震工事として屋根材をスレート屋根や金属屋根などの軽い素材のものに替えるということが多く行われています。
スレートは薄い板状の屋根材であり、瓦屋根よりもはるかに軽いという特徴があります。
重量が軽いことで、柱や壁などの建物にかかる負荷も小さくなり、地震があった際の揺れ幅も縮めることができます。
このように屋根の軽量化ができるということは地震が多いという地域では大きなメリットとなるでしょう。
安価であり、操作性も高いために扱いやすい
スレートの2つの種類の中でも天然スレートは希少価値が高く、高価なものとなっていますが、化粧スレートはセメントが主原料の素材となっているため、比較的安価で使用することができます。
価格が安定して安くなっている化粧スレートを使うことで、建築費用の合計費用を抑えることができるでしょう。
また、瓦屋根などの素材を使用する場合は、そういった素材が高価なことに加えて高い技術が求められるために施工費用が高くなりがちですが、スレートは軽くて扱いやすいことから施工費用も安くなっているため、さらに全体的なコストを抑えることができます。
幅広く使用されているので扱っている工事業者が多い
根材によっては業者が扱っていない、施工できる職人がいないということもあり、自由に好きな屋根材を選べるということができない場合もあります。
ただ、化粧スレートは幅広く使用されている屋根材でもあり、扱っている業者が多いという特徴もありますので、多くの業者が施工できる屋根材となっています。
また、扱いやすく、施工しやすいという特徴がありますので施工費用も安く、工期も短くなるというメリットがあります。
瓦屋根などを屋根材に使用する際には業者によっては扱っていない、施工技術も高いものが求められるといった理由があるため費用も高価になりがちです。
多くの業者が扱っている、施工費用が安いという「扱いやすさ」があるというのがスレートのメリットだと言えるでしょう。
色やデザインの種類が多く、建物に合わせやすい
屋根材の中でも化粧スレートはデザインや色の種類が豊富に用意されているため、さまざまな建物に合わせやすい特徴を持っている屋根材でもあります。
周囲の風景や家屋の屋根の形、建物の色合いに合わせて屋根材の色や形を選ぶことができるので、美観を追求したい場合にも適しています。
見た目を重視したい、自分好みの屋根にしたい人に特におすすめの屋根材だといえます。
スレートを利用する際のデメリットとは
利用メリットの多いスレートですが、実際に利用する際にはいくつかのデメリットもあります。
ここではそれらのデメリットについて紹介していきます。
耐久性が低い、割れやすい材質である
スレートは薄い板状の屋根材という特徴があるため、手軽に扱いやすいというメリットがあるのですが、逆に破損しやすい、割れやすいというデメリットもあります。
強風の時に飛来してきた物、落下物などによって屋根材が割れてしまう、破損してしまうこともあるので、台風がよく通る地域、強風になる時が多い地方などではあまりおすすめはできません。
スレートが割れたり、破損したりすると、その部分から雨水が浸入して雨漏りの原因にもなりますので注意が必要です。
防水性はそれほど高くはない
スレートは薄い板状の形状となっており、屋根に設置する際には組み合わせることで屋根を作っていくという施工方式となります。
そのため、屋根材同士の設置がうまく組み合わさっていない、接続がうまくいっていないという時にはその隙間から水漏れしやすいという特徴があります。
また、接続部分には水が溜まることによってカビ、コケなどが発生しやすく、そこから屋根材の劣化が進んでいくことがあります。
もともとスレート自体がそこまで耐水性が高いという素材でもないということを考えると台風が多い、大雨がよく降るという地域では雨漏りしやすい屋根材ということもあって、あまり使用に向いていない素材ともいえるのかもしれません。
塗装メンテナンスを行う必要がある
化粧スレートは屋根材の表面部分に塗装がされている屋根材です。
表面の塗装については経年劣化によって薄くなっていく、剥がれていくということがあるため、定期的に塗装メンテナンスが必要となります。
たいていは10年に一度ほどの期間で塗装しなおす必要があるのですが、それ以前でもスレートにひび割れがある、色がかなり薄くなっている、表面が剥がれているというような症状が出ている場合にはすぐにメンテナンスが必要となります。
メンテナンスが遅れるとそれだけ劣化も早くなっていってしまうため、早い処置が重要です。
スレート屋根の劣化サインとメンテナンス方法とは
色々と利用メリットの多いスレート屋根ですが、破損しやすい、塗装が必要という特徴もあるため、定期的にメンテナンスをする必要がある屋根材でもあります。
定期的にメンテナンスを行うのが基本ですが、劣化サインが出てきている場合はその時点でメンテナンスを行う必要があるともいえます。
そこでここではスレート屋根の劣化サインとメンテナンス方法について紹介していきます。
ひび割れが起きている時のメンテナンスについて
スレートは薄い板状の屋根材ということもあって、割れやすいという特徴があります。
割れたスレートはその部分から雨水が浸入し、雨漏りしやすくなるため、できるだけ早い補修が必要となります。
細かいひび割れ程度であれば塗装をして補修することができる場合がありますが、大きなひび割れ、亀裂、破損しているという場合にはその部分の補修もしくは交換作業を行うということが必要です。
割れているスレートが多い、全体的にひび割れが多くみられるという時には全体的な葺き替え工事などを行う必要があると言えます。
スレートがズレている、剥がれている場合のメンテナンスについて
スレートがズレてしまっている、剥がれてしまっているという場合にも修理や交換が必要となります。
再び組み合わせて設置できる場合はそのように補修する場合がありますが、補修できないという場合には交換が必要となってきます。
スレートは素材によっても価格は違ってきますが、一般的な化粧スレートであればたいていスレート1枚で1~3万円前後となっています。
スレートがズレているまま放置しているとそこから雨漏りが発生しやすいので、できるだけ早く交換をするようにしましょう。
スレートが反っている、破損している場合のメンテナンスについて
スレートは経年劣化していくことによって反る、割れる、破損するということがあります。
日差しが強い、太陽光がよく当たるという屋根では反ってくる、乾燥によって割れるということが起こりやすくなるので、注意が必要です。
スレートが反ってきている、破損しているという場合には、その部分のスレートを交換する必要があります。
スレートの塗装が薄くなってきている場合のメンテナンスについて
素材にもよりますが、一般的にスレートの表面は塗装がされています。
この塗装は経年劣化することによって薄くなる、剥がれるということが起きてきます。
こうした塗装面は塗りなおしが必要となりますので、10年に一度ほどを目安に塗装メンテナンスをすることで効果を復活させていきましょう。
ただし、スレート屋根の素材や製品によっては塗装ができない種類のものもあります。
使用しているスレートが塗装できるものかどうかは必ず確認しておきましょう。
まとめ
スレート屋根という屋根材は安くて軽く、扱いやすいという利用メリットが多い素材でもあります。
そのため、日本では広く普及しているのですが、割れやすいといったデメリットもあるため定期的にメンテナンスを行う必要があるともいえます。
ウェルスチールでは塗装から屋根修理まで、自社職人にて対応が可能です。
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