屋根の豆知識

屋根の貫板とは?種類や耐用年数、交換費用について解説

建物の屋根は多くの部位、部材が組み合わさってできています。
それらの中には「屋根材」「雨樋」のように外からはっきり見えるものもあれば、外からでは見えないというものもあります。
そんな部位の中にも重要な役割を果たしているものは多くあるのです。
そこでここでは屋根の「貫板」の種類、耐用年数、交換などについて紹介していきたいと思います。

貫板とは

 

一般にはあまり知られていない貫板ですが、実は重要な役割を果たしている部位となっています。
ここではまず貫板の概要について紹介していきます。

貫板の概要について

「貫板」とはスレート屋根などで使用されることが多い「棟板金」を屋根の上でしっかりと固定するための下地材です。
棟板金はその名前の通り、屋根の「棟」と呼ばれる部分に設置される板金です。
屋根の頂点に位置する部分に設置され、屋根の部材を安定させる役割を果たしています。
この棟板金の中に貫板と呼ばれる板状の部材があり、その貫板に棟板金を被せて釘を打ったり、ビスを使うことで棟板金を固定しているのです。
棟板金は屋根の頂点の部分を保護するという役割を果たしており、貫板はその土台となりますので、ここが破損、劣化してしまうことで雨漏りの原因となってしまうことがあります。

貫板の種類について

貫板は以前は木製のものがほとんどでした。
木製の貫板を土台にして、そこに棟板金を釘で打って固定するという方法が一般的だったのです。
ただ、木製の貫板は安くて使いやすいというメリットはありますが、水分によって腐食するという欠点もあります。
貫板が水分によって腐る、破損するという状態になると棟板金を固定している力が弱くなっていき、棟板金がズレる、外れるということにもつながるため、非常に危険です。

そのため近年では劣化しにくい、腐食しにくい素材として樹脂製の貫板が多く使われるようになってきています。
樹脂製の貫板は木製のもののようにすぐに腐食するということがありません。
樹脂製の貫板の場合は釘ではなく、ビスを使って固定することが多くなっています。
このビスも腐食しにくいステンレス製のものなどが使われています。

特に、ウェルスチールでは「タフモック」と呼ばれる樹脂製の貫板をオススメしております。

〈施工事例〉

貫板の劣化について

 

貫板が劣化していくと棟板金を固定する力が弱くなり、棟板金が外れたりすることにつながります。
そこでここでは貫板の劣化について紹介していきます。

貫板はなぜ劣化するのか

貫板は棟板金の内側にあるため、本来は直接雨風にさらされるということはありません。
しかし設置してある程度の期間が経つと、棟板金の釘穴やビス穴などから少しずつ内部に雨水が浸入することとなります。
棟板金の内部に水が入ることによって、その水分や湿気などによって貫板はダメージを受け、腐食していってしまうのです。
貫板が腐食する、劣化するということが進んでいくことによって棟板金を固定している釘やビスの固定力が弱まってきます。
釘やビスの固定力が弱まることで、釘が抜けてしまう、ビスが外れてしまうということにつながり、固定されなくなった棟板金がズレる、外れる、落下するということにつながるのです。
もし棟板金がズレたり、外れてしまったりすると屋根の頂上部分から雨水が大量に屋根の内部に侵入することとなります。
わずかな水の侵入であればルーフィング(防水紙)などで防げるかもしれませんが、大量に水が入ってしまうとルーフィングでも支えきれなくなり、雨漏りの原因となってしまうでしょう。

貫板が劣化する他の原因とは

貫板は色々なことが原因で劣化してしまう場合があります。
まず「錆びる」ということがあります。
これは鉄製の釘を使って棟板金を固定しているという場合に起こるのですが、鉄製の釘が錆びてしまうことによって固定力が弱まり、その隙間から水が浸入していくということがあります。
最近では錆びにくいステンレス製のビスなどを使って固定することが増えているのは、これが原因だと言えます。

次に「熱膨張」というものがあります。
棟板金がガルバリウム鋼板などの金属製でできている場合、強い日差しを受けて高温になることで熱膨張が起こるのです。
金属は高温になると膨張するというもので、こうして膨張する際に固定している釘やビスも一緒に引っ張ってしまうのです。
膨張した金属は夜になって温度が低下してくると収縮していきます。
しかし釘やビスはそのままの位置に置いてこられるため、緩んだままになるのです。
この膨張と収縮を何度も繰り返すことによって釘やビスがどんどん緩んでいくのです。

貫板のメンテナンスとは

さいたま市大宮区にて屋根修理 棟の貫板交換 施工後

貫板や棟板金を長い期間正常に維持していくためには定期的にメンテナンスを行う必要があります。
しかし実際には貫板をチェックしようとしても棟板金の中に設置されているため、棟板金を外さなければ貫板のメンテナンスを行うことができません。
そのため、貫板だけを単独でメンテナンスをするのではなく、屋根の点検時、棟板金の点検時に貫板の確認も一緒に行うというのが一般的です。
そこでここでは棟板金と貫板のメンテナンスについて紹介していきます。

釘の打ちなおしやビスの締め直しを行う場合

経年劣化が進むことで釘やビスが少しずつ緩んでいき、固定力が弱くなっていきます。
釘やビスが緩んだとしても、棟板金や貫板は劣化していないという場合には釘の打ち直しやビスの締め直しが行われることがあります。
一般的には棟板金の釘は8~10年ほどで緩くなってくるとされています。
ただ、どんな条件でも同じというわけではなく、日差しが特に強い、雨がよく降る、風が強いといった地域ではそれだけ釘にかかる負担も大きくなりますので5~7年ほどで緩くなることがあります。
これくらいの期間を目安にしたメンテナンスで、貫板が劣化していないか、棟板金は破損していないかということを確認し、固定力がしっかりと保たれているかどうかを確認しておきましょう。
棟板金の釘を打つ際には真上から打つ「脳天打ち」では釘穴部分に隙間ができることがおおくあるため、この打ち方は使用しません。
隙間を作らないように側面から釘を打ち込む方法を利用します。
こうして釘を打ち直したり、ビスの締め直しをするというメンテナンスを行う場合があります。

屋根塗装、棟板金塗装を行う場合

貫板と棟板金をメンテナンス時に確認した際に棟板金がひび割れ、破損、欠けているといった状態になってしまっている場合は新しいものに交換する必要があります。
ただ、そこまでの破損はしておらずに色褪せが起きている程度であれば塗装をし直すことで効果を回復させるという場合があります。
この場合も棟板金だけ単独で塗装をするということはあまりなく、屋根全体の塗装を行う際に一緒にするということが多くなっています。
この時に内部の貫板の状態を確認すると良いでしょう。

棟板金の周囲のコーキングを行う場合

貫板や棟板金に特に異常がなかったとしても棟板金の周囲に打っているコーキングが劣化していることが原因で雨漏りにつながるという場合もあります。
コーキングは一般的に5年程度で劣化してきますので、定期的にメンテナンスを行っていないと劣化、ひび割れ、破損していってしまいます。
コーキングが劣化してぼろぼろと崩れていくとそこにできた隙間から雨水が浸入していき、中にある貫板が濡れる、水分が多くなることで劣化していくということがあります。
貫板や棟板金に異常はなくてもその周囲のコーキングが劣化していることがあるので注意しましょう。

ただ、棟板金には内部に湿気が溜まらないようにするための必要な隙間もあります。
この隙間は内部の湿気を外に排出するためのものです。
この隙間までコーキングで完全に埋めてしまうと棟板金の内部の換気ができなくなり、中に湿気が溜まってしまいます。
湿気が溜まると貫板が腐食していく原因になりますので、コーキングを打つ場所には注意が必要です。

貫板や棟板金の耐用年数と交換について

さいたま市にて屋根修理<棟板金の交換>貫板の取り付け

貫板が劣化している、腐食しているという時には貫板を新しいものに交換することとなります。
棟板金についても劣化している、腐食している、破損している、塗装できないほど色褪せしているという時には新しいものに交換することとなります。
ここではそんな貫板や棟板金の耐用年数や交換について紹介していきます。

貫板や棟板金の耐用年数について

貫板は木製のものが以前は多く使われていました。
それらは劣化したら新しいものに交換するというサイクルでしたが、近年は劣化しにくい樹脂製の貫板を使うことが多くなっています。
樹脂製の貫板は10年以上の耐用年数があるため、劣化しにくいものとなってきています。
棟板金も以前は鉄製のものが多かったのですが、錆びる、腐食するということがありました。
最近ではガルバリウム鋼板のものに交換されることが多く、こちらも10年以上の耐用年数となっています。
交換する際には貫板と棟板金の両方を交換しておくと効率的です。

貫板や棟板金の交換について

貫板が劣化してくると新しいものに交換することとなります。
棟板金を外し、劣化している貫板を解体して撤去した上で新しい貫板を設置し、そこに棟板金を固定して交換が完了となります。
貫板の素材にもよりますが、1mあたり5000~10000円ほどの費用が交換費用となります。

棟板金も劣化している場合は新しいものに交換します。
ただ、棟板金を交換する際にはその下にある貫板、野地板、ルーフィングなどもまとめて点検し、新しいものに替えてしまうことが多くなっています。
その場合は棟板金の交換費用1mあたり7000~12000円ほどに加えて、他の部位の交換費用がかかることとなります。

まとめ

貫板は外からは見えない部分ではありますが、屋根の頂点を支える棟板金を固定するという重要な役割を果たしています。
近年は劣化しにくい樹脂製のものが増えてきており、メンテナンス時にそういった素材のものに交換するというのも良いでしょう。

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