屋根の豆知識

瓦屋根の葺き直し工事について

近年屋根材としてはスレート屋根や金属屋根が増えてきていますが、昔ながらの瓦屋根もまだまだ多く使われています。
瓦屋根自体は耐用年数も長く、頻繁に交換する必要はありませんが素材によっては劣化が早いものもあります。
また、瓦屋根を固定している漆喰が劣化するということもあります。
そうした際には葺き直し工事を行うこととなっていきます。
そこでここでは瓦屋根の葺き直し工事について紹介していきたいと思います。

瓦屋根の葺き直し工事とはどういった工事なのか

屋根の補修工事にも色々な種類の工事があります。
屋根材や下地をすべて新しいものに交換する「葺き替え工事」、既存の屋根の上に新しい屋根を作る「カバー工法」、薄くなった塗膜を塗装しなおす「塗装メンテナンス」などがそれに当たります。
ただ、屋根の「葺き直し工事」は主に瓦屋根を使用している屋根で行われる補修工事であり、屋根材よりも「ルーフィング、野地板、垂木」といった下地部分の補修や交換を目的としている工事となっています。

どういった屋根材で行われるか

例えば屋根材を設置して10~20年経過しているような屋根材であれば、スレート屋根や金属屋根などの屋根材自体の耐用年数が経過しているということが多く、屋根材の交換時期に差し掛かってくるために葺き替え工事やカバー工法を実施する必要が出てきます。
しかし陶器瓦では耐用年数が50年以上あるようなものも多く、10年経ってもまだまだ使用できる状態のものが多いのです。
ただ瓦屋根自体の耐用年数が残っていてもその周囲のコーキング、漆喰などが劣化していることも多くあります。
また、瓦屋根の下地として使用されているルーフィング、野地板などは15~20年程度で劣化してくることが多いのでそれらのメンテナンスが必要となるのです。
そのため瓦屋根は再利用できるが周囲のメンテナンスをするという状況となるので利用されるのが「葺き直し工事」なのです。
そのためスレート屋根や金属屋根では葺き直し工事は行わず、基本は瓦屋根で実施する方法となります。
ただ、瓦屋根だとしてもすべての瓦で行う工事ではありません。
セメント瓦やコンクリート瓦はそれほど耐用年数が長いわけではなく、一度外す際に割れてしまう、欠けてしまうということもあるので葺き直し工事を行うことはありません。
結果的に葺き直し工事は陶器瓦で使用される工法となっています。

ルーフィングの劣化について

ルーフィングは防水シートとも呼ばれる下地部分です。
瓦屋根自体が雨水をある程度防いでくれるのですが、どうしてもある程度屋根材を通過してしまう部分があります。
こうして瓦屋根を通過した分の雨水はルーフィングで防がれることとなります。
このルーフィングがしっかりと機能しているうちは雨水が室内まで浸み込んでいくことがないのですが、ルーフィングが劣化して破損していくと雨水を止めることができずに通過してしまうこととなります。
ルーフィングの耐用年数は20年前後が目安となっており、このくらいの期間になると補修交換時期と言えるでしょう。
また、ルーフィングは瓦屋根だけでなくスレート屋根や金属屋根でも使用される下地です。
どの場合であっても屋根材が破損や劣化していくことで屋根材部分で雨水を防ぐことができずにルーフィングに多くの水がかかってくることとなります。
水が通常よりも多く当たっていくことでそれだけ負荷がかかることとなり、劣化が早まっていくこととなります。
そのため20年程度は安心というわけではなく、屋根材の状況についても常に確認しておくことが重要です。
このルーフィングは屋根材の下側に設置されているものですので、直接見ることや点検することができません。
屋根材を一度外さなければルーフィングを確認することができないために葺き直し工事が有効的になるのです。

野地板の劣化について

ルーフィングと同じように下地部分である野地板も劣化していくこととなります。
野地板は耐用年数が30年前後となっています。
野地板部分が劣化してくると腐食してきて安定性が低下してきます。
瓦の安定度が下がってきてズレやすくなったりします。
また、ルーフィングの劣化と同様に 屋根材が劣化や破損している状態だと野地板にも負荷が多くかかっていくことによって劣化が早まってしまう傾向があります。
ルーフィングと野地板が劣化していくと雨漏りの危険性も高まっていくこととなります。
このように瓦自体に劣化や破損がなかったとしてもルーフィングや野地板が劣化することがあるので、葺き直し工事が有効的となるのです。

瓦屋根の葺き直し工事にはどのようなメリットがあるのか

瓦屋根の葺き直し工事を行う際にはそのメリットがあります。
この工事にどのようなメリットがあるのかを把握した上で他の工事と比べて検討していくことが重要だと言えます。

葺き替え工事よりも費用を抑えることができる

最初に瓦屋根を一度外して、下地部分の補修や交換を行ってそのあとで瓦屋根を設置していくというのは葺き替え工事と同じような流れになります。
ただ違うのは葺き替え工事の場合は設置していくのが新しい屋根材ということです。
そのため、再び瓦屋根を選ぶという場合もありますが、違う素材の屋根であるスレート屋根や金属屋根に変更するということもあります。
ただ、新しい屋根材を設置するということはそれらの製品費用がかかってくることとなるので工事費用がどうしても高くなってしまうこととなります。
しかし葺き直し工事の場合は使用していた瓦屋根を再利用することとなりますので、新しい屋根材を購入する必要がなく、合計の費用を抑えることが可能となります。

建物のバランスを保ち、イメージも変えずに工事ができる

葺き直し工事を行う場合は工事を行った後でも見た目には違いができてきませんので、建物全体のイメージが変わらないということがあります。
特に建物が伝統的な建物で瓦屋根を使っていた場合に他の素材のスレート屋根や金属屋根などに変更することで建物全体のイメージが変わってしまったり、重厚感がなくなってしまうということがあります。
こうしたイメージをそのままで工事ができるというのはメリットと言えます。

瓦屋根の葺き直し工事を行う際の注意点やデメリットとは

瓦屋根の葺き直し工事を行う際にはメリットもあるのですが、いくつか注意点もあります。
この工事にどのようなメリットがあるのかを把握した上で他の工事と比べて検討していくことが重要だと言えます。

葺き替え工事より工期が長くなってしまうことがある

屋根の葺き直し工事のデメリットとして工期が長くなる場合があるということがあります。
葺き替え工事を行う場合は既存の屋根材についてはすべて撤去して処分してしまうために一度外していくときにはあまり慎重に行う必要がありません。
撤去した瓦が欠けてしまおうが、割れてしまおうがたいした問題ではないのです。
その分だけ作業を早く行っていくことができます。
ただ、葺き直し工事の場合は外した瓦をもう一度使うために丁寧に作業を行っていく必要があります。
慎重に作業を行う分だけ時間がかかることとなり、工期が長くなってしまう場合があります。
扱う瓦が重いということもあってなおさらと言えるでしょう。

同じ瓦で揃えることができない場合がある

葺き直し工事を行う際には基本的には既存の瓦を使うこととなるので、新しい屋根材を購入する必要がありません。
ただ、瓦が一枚だけ割れているような場合、その割れている瓦だけを新しいものに交換するということができます。
こうして全体的に補修することができていくのですが、既存の瓦が現在販売されていないような瓦の場合はその瓦を入手することができないということがあります。
その場合は割れた瓦と同等の性能を持つ瓦を購入することとなるのですが、どうしてもそこだけが瓦の色合いが違ってくるために全体的な外観イメージが変わってくることがあります。
一部分だけが違ってしまうのがどうしても嫌という場合はすべての瓦を交換することとなってしまうために葺き替え工事になってしまうこととなってしまいます。

葺き替え工事と同じくらい費用がかかる場合がある

屋根の形状が複雑である場合は作業に時間がかかる場合があります。
また、一度外す瓦を丁寧に扱わなければならないことが原因で工期が長くなってしまう場合があります。
工期が長くなるということは人件費など工事費用が高くなってしまうために、結局葺き替え工事と同じくらいの費用がかかるという場合があります。
特に葺き替え工事で安い屋根材を使用するという場合などにはこういった現象が起こりやすくなります。

葺き替えしないことで重い瓦屋根を使うこととなる

葺き替えをする時には重い瓦屋根から軽い屋根材に変えるということが最近では多くなっています。
それは軽い屋根材にすることで屋根の軽量化をして耐震性能を高めるということを目的としています。
瓦屋根のように重い屋根の場合は地震が発生した際に遠心力の問題で屋根が大きく揺れることとなり、柱や壁といった構造部分に大きな負荷をかけることとなります。
あまりに負荷が大きすぎるという時には建物が崩壊してしまうこととなります。
この揺れを軽減するために屋根を軽量化する工事を行っているのです。
こうして屋根材を交換するのが葺き替え工事を実施するときが良いタイミングとなるのですが、葺き直し工事を行う場合には再び瓦屋根を使用するので屋根の軽量化をはかることができません。

まとめ

瓦屋根を葺き直す場合には、葺き替え工事を行う、カバー工法を行う、漆喰の詰め直しを行うなどの種類があります。
また、瓦の種類にも多くの種類がありますので、葺き直す際にどういった瓦を選ぶのかということも重要だと言えるでしょう。
耐久性や見た目、重量なども含めて考えていくと効率的に瓦を選ぶことができるでしょう。

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